テロが続いています。罪のない人々が被害に遭うことは本当に痛ましいことです。こんな時こそ力を合わせて強い連携を、と願ってもG7でも例の大統領が足を引っ張り、なかなか本当の意味での一致団結は難しそうです。

世の中の仕組みや格差社会に不満を持つ、若い世代が権力層に対し武力テロを起こす(それを未然に防ぐ)というテレビドラマがあります。格好いい派手なアクションシーンがあり、実行犯が無事逮捕されても何かモヤモヤするのは、真の解決には届かないということ。まさにイスラム国に傾倒する人々がそうですが、不平や不満を持つ人がいる限り、テロの芽となる声は次々と出てきます。それ(力による攻撃)が正しいと思い込む信念は恐ろしいものです。例の大統領の支持者も、もちろんテロとは違いますが、排他することこそ正しいと信じ、大国の大統領にあのような人を選出してしまったわけですよね。
そのドラマの犯人(高校生の少年)の家庭環境が気になりました。一般的にいえばけっして貧しくもなく、一軒家を構え、息子も普通の高校に通っています。ごく普通のサラリーマンが、がんばってマイホームを手にし、住宅ローンが厳しいせいで子どもの進学に際し、学費ローンや奨学金の検討を息子にほのめかす、それが息子には大きな不満であった、という設定でした。
学費の高い米国では、大学生が上記のような手段を取ることはごく普通のことですが、日本では親が教育費を出すのは、当たり前のようになっています。それどころか少子化で子どもにかける教育費もエスカレート、子どもが幼い時から塾に家庭教師、お稽古事と学費以外にも莫大なお金をかける方が多いのが現実でしょう。
それが貯蓄できない家計を習慣化させ、老後資金が作れず、将来に大きな足かせとなっていることも多いのです。

貯蓄ができない状況を、国や制度のせいにして怒りを爆発させるのではなく、現実をわきまえ、計画性をもって、各自が自衛する方がよほど建設的と言えます。前述のドラマの家庭であれば、

1.無理をしない程度の住宅購入をする

2.積立などを活用し、子どもが幼い時から学費を貯える

3.マネー教育を子どもの小さい時から始めて家計を理解させる

といった計画性が必要だったのでしょう。
もちろんこれはドラマの家庭に限らず、誰もが意識すべき点です。人生の3大資金と言われる「住宅」「教育」「老後」の資金を準備するために以下は大切なことです。

1.無理をしない

2.長期計画

3.余裕をもつ

急いで貯めようとしてリスクを取り過ぎたり、背伸びをしたローンを組んで生活にしわ寄せがきたり、ということは避けたいものです。堅実な資金準備を聞くと投資は真逆と考える方もいますが、長期間に時間分散した投資はリスクの逓減ができ、かつリターンの安定化も期待できるものです。
「普通の家庭」であれば、早くから計画性をもつことで困らない生活につながるはずです。

廣澤 知子

ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員