こうした不安定な時は、相場も荒れやすく、通常以上に利食いは早めに、損切りの注文も必ず入れて万一の時に備えましょう。
話は変わりますが、今読んでいる小説の時代背景は第一次世界大戦の始まった頃です。平和にのどかに暮らしていた普通の人々の生活が戦争色に染まっていく姿は何とも悲しいもの。小説内には色々な年代の人が登場しますが、この時期に10代の人は、この大戦後およそ10年後には世界恐慌を、そのまた10年後には第二次世界大戦を体験することとなり、30~40代にかけて不安定な世の中で生活するのだなぁ、とその後の歴史を知る後世の人間としてふと考えました。
人生の中でもっとも華やいだ青春期である10~30代をどういう時代背景の、どこで生まれ育つかは本人が選べるものではありません。日本でもバブル期に子供だった人は「失われた20年」と呼ばれる中で青春期を過ごし、就職氷河期も経験、人によっては親や自身の失業や倒産といった経験もあるかもしれません。戦争が人々に命の大切さ、重さを再認識させるのと同様に、経済危機はお金をより大切に感じさせるようになります。
現在日本の景気は、実感は別にして景気拡大期にあり、世界景気も「穏やかに持ち直し」と評される状況にありますが、それ以上に上述したような政治リスクが大きくなっています。
経済恐慌であれ、戦争であれ、個人の生活を国が守ってくれるわけではありません。どんな時代になろうとも、自分のことは自分で守る心づもりは必要です。国や自治体には、完全には守ってくれないまでも、様々な制度はあります。補助金や助成金といった、弱いものを味方する制度は知らなければ活用できません。
マネー力(=稼ぐ、貯める、運用する等の総合力)だけではなく、社会情勢や世の中の制度、IT等の新しい仕組みを知る知識力、前回も書いた計画力をもつことは自身を守るうえで大きな強みになるはずです。
もう一つ、「おひとり様」という言葉を見かけますよね。
世間でそう言われるのは、一人で行動する女性、基本的にはシングルを指しますが、家族がいようといまいと、男女を問わず、一人で生活、行動全般をできるような力をつけることは今後必要になってくるでしょう。自身で生活を守り、楽しむことのできる人ほど、少子高齢化、リスクの多い世の中でも生き抜いていけると思うのです。マネー力や知識力、計画力も必然的につけていくことになります。
少しずつでも、色々なことに興味をもつことで最終的には「おひとり様力」をつけていきたいですね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員