モトリーフール米国本社、2023年2月12日 投稿記事より

主なポイント

・ハネウェル・インターナショナルの成長投資は、まもなく実を結び始める見通し
・アンシスは、専門とするソフトウェア分野のリーダーであり、極めて高い利益率を享受している
・PTCは、産業界のデジタル革命が追い風に

市場が変動しても、長期的成長が見込まれる3銘柄

ここ1年の市場の変動は、市場のタイミングを計ることがいかに難しいかを示しています。2022年1月に、それが同じ銘柄であったかどうかにかかわらず、株を買った人は苦戦していたと思いますが、夏に取引していれば成功していたかもしれません。

かの有名なウォーレン・バフェット氏でさえ、市場のタイミングを計ることはできないと言っています。タイミングを計る代わりに長期的に成長が見込まれる優良なグロース株をタイミングに関係なく買って、長期的に保有するのが有効と思われます。

そこで、別の著名投資家で、アーク・インベストメント・マネジメント・エルエルシー(以下、アーク社)を率いるキャシー・ウッド氏が、自社で運用する複数のファンドを通じて購入しているグロース株3銘柄を紹介します。

ハネウェル・インターナショナル:傑出した資本財銘柄

ハネウェル・インターナショナルは、アーク社が運用する上場投資信託(ETF)のアーク・スペース・エクスプロレーション&イノベーションETFの保有銘柄の中で、短期的・中期的・長期的にも成長が見込まれる魅力的なコングロマリット銘柄です。

短・中期的には、航空宇宙部門が民間航空宇宙産業の回復から恩恵を受けるとみられます。しかし、長期的に考えると、同社はエアタクシーやドローン配送といった新興分野向けにアビオニクス・システムや推進システムを提供する主要プロバイダーです。また、同社のビル・テクノロジー部門は、商業ビルのオーナー向けに、健康的でクリーンなビルの実現、コスト削減、排出量の削減といった、デジタル技術を活用したスマートビルのニーズに対応しています。

3つ目のセグメントである高機能素材・技術部門(PMT)は、精製触媒や環境に配慮した冷媒が短期的に有望だと考えられ、またプロセス・ソリューション事業は、液化天然ガス投資といったエネルギーセクターの設備投資から恩恵を受けるとみられます。さらに長期的には、再生可能エネルギーの貯蔵ソリューション、再生可能燃料、炭素回収技術といった、さまざまな持続可能技術ソリューションを手掛けています。

最後のセグメントである安全・生産性ソリューション部門は、2023年に売上高が落ち込む見通しですが、Eコマース倉庫オートメーションへの支出が改善する一方で、IoT(モノのインターネット)センサー事業が成長するのは時間の問題と思われます。

総合すると、ハネウェル・インターナショナルには短期的にも長期的にも多くの成長事業があります。

アンシス:驚異的な利益率と力強い成長見通し

アンシスは、エンジニアリング・シミュレーション・ソフトウェア分野のリーダーです。アーク社はアーク・スペース・エクスプロレーション&イノベーションETFと、アーク・オートノマス・テクノロジー&ロボティクスETFを通じてアンシスを保有しています。

アンシスは、顧客が物理的資産の挙動や品質をシミュレーションするのをサポートするソフトウェアを専門としています。例えば、F1チームはアンシスのソフトウェアを活用することで、自動車のサーキット上での空気力学的パフォーマンスをシミュレーションし、それに応じて自動車の設計の調整を繰り返し行うことができます。

このことから分かるように、アンシスにとって最大のエンドマーケットはハイテク業界であり、売上高の3分の1を占めます。同社はまた、航空宇宙・防衛(同19%)や自動車(同19%)にも強く、残りはさまざまな業界に分散しています。

同社は長期的に大きな成長が見込まれ、41%の営業利益率は市場における同社の強さを物語っています。

しかも、そうした成長性はしばらく続くと思われます。デジタル技術の成長を考えるとなおさらで、特にデジタルツイン(物理的資産をデジタルの世界に複製したもの)は間違いなく、アンシスのシミュレーションソリューションの価値を高めるはずです。シミュレーションを活用することで、製品/技術の市場投入までの時間は大幅に短縮され、研究・開発費用の生産性は向上します。これらはすべて、アンシスの輝かしい未来が長期的に続くことを示しています。

PTC:デジタル革命の恩恵を受けるグロース株

産業界のデジタルツインとデジタル革命と言えば、アンシスのパートナー企業であるPTCに触れないわけにはいきません。アーク社は、3DプリンティングETFを通じてPTCを保有しています。PTCは、製品ライフサイクル管理(ある製品の、素材から製造、使用、最終的に廃棄に至るまでの管理)ソフトウェアのリーダーであり、また実世界の設計に使用されるCAD(コンピューター支援設計)ソフトウェアでも主力プレーヤーの1社です。

一方で、急成長中のIoT部門は、実世界とデジタル世界をつなぐ役割を果たし、拡張現実(AR)部門は、複雑なデータをデジタルに重ね合わせることで実世界をサポートしています。具体的には、保守技術者がタブレットを使って、プロセスオートメーションの配管やバルブを「見る」ようなイメージです。

アンシスと同様に、PTCも産業界のデジタル化トレンドで大きな恩恵を受けており、両社が提携するのは自然な流れです。PTCのソフトウェアは実世界をデジタルでつなぎ、アンシスのソフトウェアはそれをシミュレーションして、結果を予測します。

さらに、PTCは、クラウド上でソリューションを提供することが成長を後押ししています。これは、複数のユーザーがオンラインを通じてソフトウェアにアクセスし、設計やプロジェクトでの連携が促進されることに関心のある顧客にとって、大きなプラス材料です。

このように、PTCのソリューションは、産業界のデジタル化から恩恵を受けるのに理想的な位置にあり、また株価は長期的投資家にとって魅力的な水準にとどまっていると思います。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。元記事の筆者Lee Samahaは、ハネウェル・インターナショナルの株式を保有しています。モトリーフール米国本社は、アンシス、PTCの株式を推奨しています。モトリーフールは情報開示方針を定めています。