一方、雇用保険料(労使折半)の保険料率が引き下げ(0.8%→0.6%)になることから、サラリーマンの負担は少し軽減することになります。
制度の変更は個人の力ではどうしても抗えません。投資における自己責任と異なり、「負担増」は逃げ場なく押し付けられます。ただ、規定に従っている分、通常大きな変更にはなりにくいこと、いつ、どう変わるのかが事前にわかっていることから、税制のようなものであれば事前に手を打っておく、こうした少額の負担増であれば日常の生活の見直しで対処する、といった手立ては可能です。
もう一つ、個々の人の力が及ばないものに景気変動があります。日々の相場変動の中の急落などに巻き込まれ、損失からは逃げ切れずにがっかりすることも多いものです。常に逃げ切れ、利益しか出したことのない投資家など存在しないでしょう。ただし大きな景気変動については、前後しながらも指標等から流れは見えてくるものです。景気後退期で金融緩和方向なのか、景気上昇期・過熱期で金融引き締め方向なのか等、流れはつかめてきます。長期的な視野に立った投資であれば、そうした流れを捉えることは投資戦略においてとても重要です。
ライフプラン、そしてそれに伴うマネープランは個々の人によって異なり、各人が計画実行していくものですが、当然のことながら個人ではどうにもならない長期的な景気の流れ、時代の影響を大きく受けていくものです。地価が急上昇したバブル期においては、なかなかマイホームを持てない状況になりましたし、バブル崩壊後の長引くデフレ・不景気の時には思わぬ失職や倒産に遭ってしまったり、就職難、給料が上がらない時代へと変遷してきました。当然のことながら、予定通りに順風満帆な人生を歩んでいる人など、なかなかいないことでしょう。
そうした経緯から、プランニングは無駄なのかと言えば、もちろんそんなことはありません。一度作ったプランに固執することなく、柔軟に対応し変更していくことが大切で、それにより将来において脱出不可能な危機に陥るリスクは大幅に減らせるはずです。
毎年の資産の棚卸とリバランスと共に、ライフプラン・マネープランの確認も行うようにしていきましょう。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員