寒の戻りのせいか、まだ気の早い桜しか咲いていませんが、季節は確実に春に向かい、来週には新社会人を大勢見かけることになります。

先日、新社会人向けのマネー記事を見かけました。彼らの先輩にあたる20~30代の実際のお金遣いが実例としていくつかあったのですが、それに少々驚きました。
20~30代といえば、給料がなかなか上がらず、結婚に踏み切れない人も多い、子どもの頃から浮かれた景気を知らないので堅実・・・等言われている世代です。上手に倹約しながら貯蓄もしているのだろう、とイメージしていましたが、当然のことながら世代だけで人間をひとくくりにはできません。たまたま実例に挙がった方々(なぜか全員男性でした)のタイプが違ったのか・・・。

まず、交遊費(=飲み会費、趣味費等、被服費もこちらに入っていました)、そして食費を合わせるとその比率が非常に高いのです。
自炊は苦手という人も多いでしょう、付き合いの飲み会も減らしにくいということもあるかもしれませんが、「なんとなく・・・」という出費は前向きなものとは言えません。けっして譲れない趣味でしたり、こだわりを全部カットしろとは言いませんが、給料が少ない時に際限なくつぎ込むことは避ける方が賢明でしょう。

携帯等通信費も全員1万円以上。通信費については格安SIMを利用するなり、家族割を使うなりで、もっと抑えられるはず(家族割契約でも支払いは親とは別にすることも可能)ですが、そういう意識は低いのでしょうか。学生時代は親に払ってもらっていた人も多いのかもしれませんが、自立するということは自分の面倒を全部みること。自分で調べ、調整しなければ改善していかないのです。

結果、貯蓄額はとても給料3か月分、ましてや6か月分には及びません。もちろん、まだ勤続年数が浅く、一人暮らしをしているような場合はなかなか貯蓄を膨らませるのは大変なはずですが、工夫の余地は十分にある実例ばかりでした。
将来に対する危機感が強いと言われる世代ながら、見ているこちらが不安になるような家計の持ち主も多いようです。若い世代でマネー講座に熱心に参加しているのも女性が多いような気もします。

上記は20~30代のシングルの話ではありますが、これはもちろん40代でもファミリー層にも通じる点ばかりです。ただマイホームであったり、子どもの養育・教育であったりというはっきりとした目標があるのと違い、シングルは自由度が高い分、差し迫った必要性を感じていない人もいるのかもしれませんね。ですが、そうした人が結婚すれば、お相手が愕然とするような家計でしたり、そのまま老齢期を迎えたときに、それこそ貧困老人にまっしぐらということになりかねません。

気が付くのは早ければ早いほど、手を打てます。ご自身に当てはまる点がないか、ぜひチェックしてみてくださいね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員