中国の経済再始動が株価上昇を牽引

2023年1月中旬~2023年2月上旬の中国本土市場・香港市場は、まちまちの展開となっています。2023年1月16日終値~2023年2月6日までの騰落率は、上海総合指数が+0.3%、香港ハンセン指数は-2.4%となっています。

もっとも、株価の基調はどちらも上昇トレンドが継続しています。上海総合指数、香港ハンセン指数は共に株価が50日移動平均線、200日移動平均線の上を推移しており、上海総合指数はまもなく50日移動平均線が200日移動平均線を上に突き抜けるゴールデンクロスが発生しようとしているところです。

香港ハンセン指数は一足先に1月末にゴールデンクロスを達成しており、足元の株価下落は何か悪い材料があったというよりは、ここまでの急上昇に対する自律反落的な調整といっても良いと思います。

外部環境で言えば、米国で2月3日に強い雇用統計が発表されてから米国の金融引き締め懸念が強まる中で、(1月に強く上昇してきた)米国株が調整段階にあり、その影響は受けるかもしれません。しかし、調整を終えた後は引き続き、上昇基調に戻れるのではないかと見ています。なお、中国本土は金利の引き下げが続いているところです。

中国の経済指標を見てみると、中国経済が徐々に底打ちしていることが示唆されています。中国国家統計局が発表した2022年10-12月期の国内総生産(GDP)成長率は+2.9%と第3四半期の+3.9%から減速したものの市場予想の+1.6%は上回りました。

12月の経済指標は鉱工業生産が1.3%増(前月実績2.2%増、市場予想0.1%増)、小売売上高が-1.8%(前月実績-5.9%、市場予想-9.0%)、固定資産投資(1-12月期)が5.1%増(前月実績5.3%増、市場予想5.0%増)となっていますが、これらの12月の指標は予想を上回るものでした。

また、1月の中国国家製造業PMIは製造業が50.1(市場予想50.1、前月実績47.0)、非製造業PMIが54.4(市場予想52.0、前月実績41.6)でした。Caixin中国製造業PMIは49.2と市場予想の49.8を下回ったものの前月実績49.0を上回り、Caixin中国サービス業PMIは52.9と市場予想の51.0と前月実績の48.0を共に上回っています。

中国国家製造業PMIやサービス業PMIは景況感の境目である50を上回っており、旧正月連休後の2月や3月は経済の再起動によって、さらに好調な数字が見込まれるところです。

旧正月で見られた旺盛な需要は、今後のさらなる経済活力に

2023年の旧正月は1月22日でしたが、中国では4年振りに行動制限のない旧正月を迎えました。新型コロナウイルスの新規感染者数の拡大も懸念されていましたが、感染者数・死亡者数はいずれも低水準で推移しており、中国国内のワクチン開発も進んでいるところです。

2月6日からは、香港・マカオ・中国本土の出入境人数の上限が撤廃されるなど、次々と緩和策が打ち出されており、中国全体の経済活性化がますます期待されるところと思います。

トリップ・ドットコム(09961)によると、春節連休の中国国内の旅行件数は前年同期比5倍、海外旅行の予約件数は7.4倍になったとのこと。また、マカオの観光局によると春節期間(1月21日~1月27日)の観光客は前年同期比4倍増になったとのことです。

それでもまだ(マカオへの)中国本土からの訪問者数は全体の半分程度と、以前の7割を超えていた頃と比べると少なく、これから中国当局の規制緩和や中国人の新型コロナウイルスに対する意識の変化が進むにつれ、大きく回復していく余地を残すところです。

中国当局からも今後の経済を後押しするメッセージが発表されています。中国当局は国営中央テレビ(CCTV)を通じて、約3年続いたゼロコロナ政策が緩和されて経済が再開する中で、消費回復を加速させ、景気の主要な推進力にする必要があるとの認識を示しました(消費促進策は完全に実行されなければならず、消費者信用も適度に拡大する必要があるとしています)。

これは消費に対する政策期待につながります。また、モルガン・スタンレーやゴールドマンサックスなどの米大手金融機関も中国に対して強気な見通しを発表しています。

例えば、ゴールドマンサックスは2023年の中国国内総生産(GDP)成長率見通しを5.5%に上方修正しています。ここまで中国経済はゼロコロナ政策などによって、成長率が低迷していました。ここからGDP成長率が回復していけば、企業業績も伸びていくことに繋がります。そうなれば、現状でも割安感のある中国株はさらに見直されてくると考えます。

2023年は中国株にとって、大きな回復の1年になる可能性が高いと思われます。