後場の終わる時間で、金融機関の窓口がようやく閉まる午後3時に退社できる金融機関関係者がいるはずもなく。様々なテレホンセンターもほとんどが午後6時くらいまでは受け付けています。各種商店、デパートは当然3時に閉めることはありませんし、月末が月の決算という会社も多いです。学校の先生も3時に一斉に帰宅とはいきません。そうした仕事に従事している人はそもそも対象外ということなのでしょうか。官民連携とありますが、推進協議会委員の「民」は当の小売系の方が多いようで、休む時間を創出することによる「充実感・満足感を実感できる生活スタイルの変革への機会」...と言いつつ、ご自分たちは休むことなく、顧客を増やすため、消費喚起を目指すキャンペーンでしかなさそうです。
ところが消費者の方は賢くなり、「無駄な消費=浪費はしない」工夫を考えています。世の中の経済の活性化は重要だけれど、個々人の責任でマネーコントロールをすることは、そのまま自身の将来につながることなのでもっと注意すべき、と認識している人が増えているのです。お金を使うことを鼓舞されても、将来年金はきちんともらえるか分からない・・・と。
マネーコントロールとは、このコラムにもよく書きますが、決して節約とは同義ではありません。それこそ自身の「生活スタイル」に合わせて必要な出費と無駄な出費を区別し、お金の使い方にメリハリを持たせることでゆとりを生み、将来に向けて資産を作る土台にしていきます。お金も時間も限られていますから、無駄な時間のために無駄にお金を使うことは色々な意味で後悔につながりやすいもの。
自分にとって必要な休暇を取り、そこに必要なお金をかけるということは決して浪費ではありません。その結果、使われるべくお金は使われるという経済効果も期待できるでしょう。
ゆとりの時間の作り方、過ごし方、そうした時間でのお金の使い方・・・文化的にも日本人にはまだまだ苦手な方も多いのかもしれません。それは本来「官」が音頭をとってお仕着せの提案をするような種類のものではないとは思うのです。
周囲への配慮や準備も必要だと思いますが、働く人の権利である休暇を上手に利用して、「お仕着せ」ではない個々の生活スタイルを確立していけるといいですよね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員