東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は5日ぶりに小幅反落となりました。49円高の27,444円で寄り付いた日経平均は直後に107円高の27,502円まで上昇しましたが、朝方の買い一巡後に上げ幅を縮め9時30分過ぎにマイナスに転じると10時40分過ぎに78円安の27,316円まで下落し33円安の27,361円で前場を終えました。31円安の27,363円でスタートした後場の日経平均は下げ幅を三桁に広げ13時20分前に110円安の27,284円まで下落しました。しかし、その後持ち直すと下げ幅を縮め結局32円安の27,362円で取引を終えています。こうしたなか新興株も軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
大手海運株の下げが目立ちました。スイス海運大手のMSCとデンマークのAPモラー・マースクがコンテナ船を共同運用しているアライアンスを2025年1月に解消すると発表したことで競争激化による運賃の下落リスクが意識され昨日の欧米市場で海運大手の株価が軒並み下落しことから日本市場でも海運株が売られました。日本郵船(9101)が一時4.1%安、商船三井(9104)が一時3.8%安、川崎汽船(9107)も一時4.7%安となりました。富士通ゼネラル(6755)も一時3.5%安となりました。海外で空調機の販売が伸び、値上げも進んだものの、銅などの素材価格や海上運賃の高騰などが響き第3四半期の営業利益が前年同期比で28.8%減となり、通期予想に対する進捗率が20.5%に止まったことから業績の下振れを警戒した売りが出ました。
一方で本決算を発表した電気計測器の日置電機(6866)が9.4%高となりました。世界的な脱炭素化の動きを背景に電気自動車向けのバッテリーや再生可能エネルギー発電設備への需要が高まり計測器などの販売が堅調に推移するとみられることから2023年12月期の営業利益が前期比で12.3%増となる見通しを発表したことで買いを集めました。樹脂加工の信越ポリマー(7970)も一時6.7%高となりました。主力のウエハーケースが好調で第3四半期の営業利益が前年同期比で44.2%増となり通期予想に対する進捗率が90.0%となったことで業績の上振れを期待した買いが入りました。
また、投資判断や目標株価の引き上げを受けて買われたのがドトール・日レスホールディングス(3087)や関西ペイント(4613)で、ドトール・日レスホールディングスが目標株価の引き上げを受けて5.3%高となり昨年来高値を更新したほか、関西ペイントも投資判断と目標株価の引き上げを受けて3.6%高となりました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は32円安となりました。昨日の米国市場が小幅に高安まちまちとなり材料になりにくいなか4日続伸となった昨日までの流れを引き継いで上昇して始まりました。しかし、節目の27,500円をわずかに上回ったところで伸び悩むと上げ幅を縮めマイナスとなりました。そのため27,500円近辺での上値の重さがやや意識されそうですが、昨日までの4日間で1,000円近くも上げていたことからすると当然の一服で、200日移動平均線(27,221円)を下回ることもなく小幅な下落に止まったことから昨日までの堅調な地合いは引き続き維持しているといえそうです。
なお、3月決算企業の第3四半期決算発表が徐々に本格化していますが本日も引け後には信越化学工業(4063)や日東電工(6988)などが決算を発表する予定です。また、日本時間の22時30分には2022年10-12月期の米GDP速報値や12月の米耐久財受注額が発表される予定です。さらに26日の米国ではインテル(INTC)やダウ(DOW)、ビザ(V)などが決算発表を予定しています。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)