自身のブログ「ローズマリーランド」で、インデックス投資と2018年から謳歌しているアーリーリタイア生活についての情報を発信している個人投資家ローズマリーさん。インデックス投資を始めたきっかけ、アーリーリタイアを決めた理由や経緯、現在のポートフォリオなどをうかがいました。

●プロフィール●
会社員として働いていた2011年にインデックス投資を知り、2014年から本格的に投資をスタート。2017年末に退職し、50歳でアーリーリタイアを実現。住宅購入から7年(1997年~2004年)で住宅ローンを完済するなど、お金の管理も得意。42歳の時に夫を亡くし、現在は一人暮らしで自分が楽しいと感じることに積極的にお金を使っている。

住宅ローンを完済した後、投資を本格化

――50歳でアーリーリタイアという目標を達成されたそうですね。インデックス投資で目標を達成した秘訣をお聞かせください。

・42歳までダブルインカム(DINKS)で世帯収入が多かったこと
・住宅ローンを7年で完済。その後、貯蓄率を高くできたこと
・子どもがいないため教育費が不要だったこと
・現在の住居費が管理費・修繕積立金・固定資産税のみと低いため、支出を抑えられること
が主な要因と考えています。

――アーリーリタイアを目指したのは、どのようなきっかけがあったのでしょうか。

もともと国内メーカーで研究職などの仕事をしながら、やりがいを感じて働いていました。しかし、忙しさやストレスから体調を崩したことも尾を引き、仕事を辞めてゆっくり過ごしたいと思うようになりました。両親が元気なうちに退職して、一緒に過ごせる自由な時間を増やしたいという気持ちもありましたね。

そうは言っても仕事を辞めるにあたって、お金の面が不安です。そんな私の背中を押してくれたのがインデックス投資でした。資産を運用しながら取り崩して生活していくことができるということを知ったことで、早期リタイアのハードルが下がりました。

リスク資産を増やす覚悟を決め、毎月10万円を積み立て

――投資に興味を持つようになったきっかけについて教えてください。

2004年に住宅ローンを完済しました。当時は今ほど住宅ローンの金利が低くなかったので、まず借金を早く返してしまいたかったのです。共働き2人分の収入である程度お金が貯まると繰り上げ返済に充てていたのですが、住宅ローンを返済し終えたことで、その後の住宅関連費を低く抑えることができました。

住宅ローン完済後もほぼ同じペースで貯金をしていましたが、数年後に夫が亡くなり、ひとりになると状況は変わりました。今後のお金をどうしようか考えていた時に見つけたのが、インデックス投資について書かれたブログです。その頃はまだ貯金という方法しか知らず、金利の高い定期預金について調べていたのですが、見つけたブログがたまたま定期預金とインデックス投資をテーマにしたもので、それが投資に興味を持ったきっかけです。

投資をスタートした最初の数年間は、毎月数万円と、ボーナス時に数十万円の積立投資をしていました。当時はインデックス投資の仕組みについてあまり理解しきれていなかったこともあり投資額は少額でした。

――その後、どのような投資戦略にされていったのでしょうか?

2013年頃からアベノミクスで株価が上昇し、投資したお金の評価益が増えてきました。その実体験と書籍で学んだ「ドルコスト平均法」という積立投資によって実践できる投資法がリンクし、インデックス投資で得られる効果がようやく腑に落ちました。これをきかっけにリスク資産の割合を増やす覚悟を決め、リスク資産への投資に本腰を入れ始めました。当時は月々の積立額が10万円だったと記憶しています。

給与からの天引きではなく、貯金から証券口座にまとまった金額を移し、毎月少しずつ投資信託を購入していきました。この時期にリスク資産への投資額を積極的に増やしたことが資産アップにつながったと思います。

リスク資産の割合50%をキープし、リタイア後も投資継続

――現在のポートフォリオを教えてください。

現在は、リスク資産と無リスク資産を50%ずつ持つことを基本としています。このうち無リスク資産は普通預金、定期預金、個人向け国債です。リスク資産は投資信託を中心に、国内ETFと持ち株会から移管した元勤務先の株式を少し保有しています。

リスク資産は、先進国株式66%、国内株式13%、新興国株式10%、そのほかはバランスファンドに含まれているREIT(不動産投資信託)や債券です。。

リスク資産と無リスク資産の割合は、当面変更しないつもりです。無リスク資産の定期預金は、終活の一環として金融機関の口座を整理するために満期時に少しずつ解約し、いずれは個人向け国債に集約する予定です。

――毎月の積立はどのようにされていますか?

現在は、つみたてNISAで月々33,333円、iDeCo(個人型確定拠出年金)で年40,000円を積み立てています。

2017年末にアーリーリタイアした後、2021年までは派遣社員として働いている時期もあったので、節税のためにiDeCoで毎月10,000円ずつ積立をしていました。2022年からは(節税の必要がなくなったので)積立額を減らしました。

自分が「理解できているもの」に投資

――投資を継続するために必要なことは何だと思われますか?

インデックス投資は、基本的には「ほったらかし投資」、「ズボラ投資」でいいと考えています。ただ、投資に関する書籍などを読んで、自分が何に投資をしているのか、なぜ運用資産額が増えたり減ったりするのかを自分なりに理解することが大切です。

私が投資を意識してから本格的に始めるまで約3年かかりました。振り返ると、その3年間はリスクなども含めて投資について知るのに必要な時間だったと思います。特に、山崎 元さんと水瀬ケンイチさんの『ほったらかし投資術』(朝日新聞出版)は、投資スタートの前に何度も読み、インデックス投資を具体的にイメージするのに役立ちました。

もう1つ、投資を続けるために決めているのは、外国株ETF、個別株に手を出さないことです。円から外貨への両替や銘柄分析に手間暇がかかるためです。

――現在の資産はどれぐらいでしょうか。

資産運用で増やしたものに夫や母の遺産、退職金を合わせると資産総額は1億円を超えました。資産運用による金融資産はそのうち約7割になります。資産運用でお金が増えることには安心感がありますが、私の場合は、投資自体を楽しんでいるわけではありません。人生は一度きりですから、投資で増やしたお金を使って「今しかできないこと」をやりたいと思っています。

>>>>【後編】人生100年時代こそ「お金を理由に諦めたくはない」個人投資家ローズマリーさん

※本インタビューは2022年12月19日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。