モトリーフール米国本社、2023年1月9日 投稿記事より

主なポイント

・景気減速が続くが、市場は2023年に反転する可能性もある
・バフェット氏は、4年のうち3年は市場がプラスになるとみる
・どのような市場でも、優れた企業を見つけて投資すること

2023年にどのような市場が待っていようとも、「オマハの賢人」は投資判断の指針となる知恵を授けてくれる

2022年、S&P500指数は20%弱下落しました。大半の投資家は20%の下落を弱気相場と定義しているので、2022年は厳密には弱気相場に該当しないかもしれませんが、市場の専門家は危機感を抱いているようです。

良いニュースは、悪い年の後には良い年が来る場合が多いということです。とはいえ、常にそうだとは限りません。では投資家は2023年に何を期待すべきでしょうか。投資の知恵を得るために、オマハの賢人、ウォーレン・バフェット氏の言葉に注目してみましょう。2023年の投資判断を行うにあたって、考慮すべきアドバイスを紹介します。

市場は必ずしも経済状態を反映していない

2022年以前に、市場がマイナスとなった直近の年は2018年で、S&P500は4.4%下落しました(配当込み)。しかし、その「軽い」損失の内訳はまちまちで、最高値を更新して1年を終えた銘柄も多くありました。例えば、アマゾン・ドットコムは、同年に28%上昇しています。

過去50年間で最も大きなマイナスとなった年は、大暴落が起こった2008 年でS&P500はマイナス37%となりました。この年は、住宅ローン問題に端を発して金融大手数社が破綻し、負のスパイラルが経済全体に影響を及ぼしました。

バフェット氏は、バークシャー・ハサウェイの株主に宛てた2008年の手紙で、逆風は2009年も続くと予測しましたが、市場がどう反応するかは予測できませんでした。「確実に言えることは、例えば経済が2009年を通して、そして恐らくその後も、混乱した状態が続くということだ」と述べています。「しかし、経済の状況は株式市場が上昇するか、下落するかを教えてくれるものではない」。

投資家が新年を迎え、経済や市場の不安定な状態が続く中では、このような言葉に耳を傾けるとともに、楽観的な見方をすることも重要です。

約75%の期間は、強気相場

強気相場が今すぐ来るかどうかを知る術はありませんが、投資家は市場の過去のパフォーマンスをみることで、全体として何が期待されるかを知ることができます。

バフェット氏は2008年の書簡で、同氏がバークシャー・ハサウェイに在職する44年間中、75%の期間で市場はプラスとなったと述べています。そして「今後44年間も、ほぼ同じ割合でプラスになると考えられる」とも述べています。

2008年以降14年間で、S&P500がマイナスとなった年は2022年を含めて2度しかなく、プラスとなった期間は86%となっています。

これは、さらに悪い年が来るという意味なのでしょうか?その可能性もあります。しかし、次の2つの理由から、心配する必要はないと考えます。

まず、専門家がどう言おうと、投資家はマイナスとなる年が次にいつ来る分からないということです。バフェット氏は2008年の手紙の中で、「バークシャーを経営する私のパートナー、チャーリー・マンガーも私も、プラスになる年とマイナスになる年を事前に予測することはできない」と認めています。

しかし、バフェット氏の経験に基づいて、プラスになる年とマイナスになる年の過去の比率を見れば、市場がさらにマイナスを出す「ことになる」としても、それが2023年に起こる可能性は低いとも考えられます。過去を見れば、2年連続でマイナスを記録した年は、1965年以降で2回しかありませんでした(そのうち1回は、3年連続でマイナスを記録)。つまり、下げの後は、上げに転じることが圧倒的に多いのです。

次に、より重要なことですが、優れた銘柄を分散したポートフォリオを構築して着実に追加投資を続ければ、ある年(または数年)のボラティリティはあまり問題にならないということです。

市場の状況に関わらず、一貫した投資哲学を持つ。ただし投資判断は変わる可能性もある

市場に参加するということは、悪い年もあることを最初から覚悟しておくということです。最後にもう一度2008年の手紙に戻りますが、バフェット氏は「良い年も悪い年も」、投資先企業の次の4つの要素に注目すると述べています。

1. 「ジブラルタルのような」強固なキャッシュポジションの構築
2. 防御策の構築
3. 収益源の拡大
4. 経営陣の育成

これらの原則は、バークシャー・ハサウェイが所有する企業には不可欠なものです。投資家もこのフレームワークを利用して、優れた銘柄を見つけることが可能です。

悪い年には、バフェット氏が1986年に行ったアドバイス、「他人が恐れている時に貪欲になれ」に従うと良いでしょう。2022年に、バフェット氏はこの言葉の通り、新しい銘柄をいくつか買い、既存の複数のポジションを積み増しています。

バフェット氏は、強気相場が来ると考えているでしょうか?そうです。2023年に来るでしょうか?それは分かりません。とにかく、投資家は自分でコントロールできることに集中することです。つまり、市場で成功する可能性を最大限に高めるために、優良銘柄のポートフォリオを構築し、長期的に保有することです。

免責事項と開示事項  記事は一般的な情報提供のみを目的としたものであり、投資家に対する投資アドバイスではありません。アマゾン・ドットコムの子会社であるホールフーズ・マーケットの元最高経営責任者(CEO)、John Mackeyはモトリーフール米国本社の取締役会メンバーです。元記事の筆者Jennifer Saibilは、本記事で言及されたどの銘柄にもポジションを保有していません。モトリーフール米国本社はバークシャー・ハサウェイ、JPモルガン・チェースの株式を保有し、推奨しています。モトリーフールは、アマゾン・ドットコムとバークシャー・ハサウェイのポジションを保有し、推奨しています。モトリーフールは、次のオプションを推奨しています: バークシャー・ハサウェイの2023年1月満期の200ドルコールのロング、同社2023年1月満期の200ドルプットのショート、同社2023年1月満期の265ドルコールのショートです。モトリーフールは情報開示方針を定めています。