東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて反落となりました。300円安の26,207円で寄り付いた日経平均は取引開始から50分弱で401円安の26,106円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと297円安の26,210円で前場を終えました。291円安の26,216円でスタートした後場の日経平均は直後に297円安の26,210円を付けた後12時50分に215円安の26,291円を付けるなど26,200円台で推移すると結局272円安の26,235円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
政府の原子力発電に対する新方針を手掛かりに買いが入り電力株が買われました。政府がGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議でまとめた基本方針で、原子力について将来にわたって持続的に活用すると明記し、廃止が決まった原子力発電所を建て替え、運転期間も現在の最長60年から延長するとしたことで物色の矛先が向かいました。東京電力ホールディングス(9501)が一時9.0%、中部電力(9502)が一時2.5%高、関西電力(9503)が一時6.3%高、中国電力(9504)が一時3.5%高、北陸電力(9505)一時3.6%高、東北電力(9506)が一時5.3%高、四国電力(9507)が一時4.0%高、九州電力(9508)が一時3.6%高、北海道電力(9509)も一時3.2%高となりました。Gumi(3903)も20.5%上昇しストップ高となりました。
SBIホールディングス(8473)とスクウェア・エニックス・ホールディングス(9684)とブロックチェーンゲームの開発などを目的に資本業務提携すると発表したことで買いを集めました。ハニーズホールディングス(2792)も一時3.0%高となり年初来高値を更新しました。新型コロナウイルスの感染拡大抑止を目的とした国内の行動制限がなくなり人々の外出が増加し売り上げが伸びたことなどで上期の業績予想を上方修正したことから買いが優勢となりました。
一方で半導体大手のマイクロン・テクノロジー(MU)の市場予想を下回る決算が嫌気され昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が4%を越える下落となったことで日本市場でも半導体関連株が売られました。東京エレクトロン(8035)が3.7%安、レーザーテック(6920)が4.7%安、アドバンテスト(6857)も4.5%安となっています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は272円安となりました。米新規失業保険申請件数が小幅な悪化に止まったことや、米GDPが上方修正されたことで米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締め長期化への警戒感が強まり昨日の米国市場が大幅反落となったことで売りが優勢となりました。朝方の売り一巡後に下げ渋りましたが、一時は400円以上下げる場面もありました。そのため日銀による突然の政策修正のショックをまだ引きずっているといえそうです。こうしたなか来週で今年の取引も終わりとなります。
「掉尾の一振」といった相場格言があるように株高が意識されやすい時期だけに、昨日の反発を挟んでこの7日間で1,900円以上も下げた株安の流れを止めることができるかが焦点となりそうです。なお、本日は引け後にニトリホールディングス(9843)が決算を発表する予定です。
また、日本時間の22時30分には11月の米個人所得と個人消費支出(PCE)や11月の米耐久財受注が発表されるほか、24日午前0時には12月の米ミシガン大学消費者態度指数確報値が発表される予定です。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)