東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は大幅に4日続落となりました。19円高の27,257円で寄り付いた日経平均は直後に15円安の27,222円を付け小幅にマイナスとなりましたが、直ぐに持ち直すと10時20分過ぎに101円高の27,339円まで上昇するなど堅調に推移し77円高の27,315円で前場を終えました。

しかし、昼休み時間中に日銀が大規模緩和の修正を発表したことで後場の日経平均は一転して大幅安となりました。398円安の26,838円でスタートした後場の日経平均は14時30分過ぎに820円安の26,416円まで下落した後持ち直しましたが、節目の26,500円を上回ったところでは上値が重く結局669円安の26,568円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が4.7%安となっています。

2.個別銘柄等

銀行株が軒並み大幅高となりました。日銀が金融政策決定会合でイールドカーブ・コントロールの運用を一部見直し、長期金利の変動許容幅を拡大させることを決め長期金利が上昇したことで利ざやの改善を期待した買いが入りました。メガバンクでは三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)が一時9.6%高、三井住友フィナンシャルグループ(8316)が一時8.9%高、みずほフィナンシャルグループ(8411)が一時6.9%高となり揃って年初来高値を更新したほか、コンコルディア・フィナンシャルグループ(7186)も一時11.7%高となり年初来高値を更新するなど地銀株にも大きく上げるものが目立ちました。また、生保株も買われ第一生命ホールディングス(8750)が9.4%高となり年初来高値を更新したうえ、T&Dホールディングス(8795)も9.3%高となりました。

一方で日銀による大規模緩和の修正を受けて大きく円高が進んだことから自動車株が安く、トヨタ(7203)が3.4%安、日産(7201)とマツダ(7261)が5.0%安、ホンダ(7267)が3.0%安、SUBARU(7270)も4.9%安となり、日産は年初来安値を更新しました。

さらに大規模緩和修正による金利上昇を受けて不動産市況が悪化するとの懸念から不動産株が安く、三菱地所(8802)が4.7%安、三井不動産(8801)が5.8%安、住不動産(8830)も5.5%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は669円安となりました。昨日までの3日間で900円以上も下げていた反動で買いが先行しましたが、日銀が大規模緩和の縮小を発表したことから後場に下落に転じました。日銀は金融政策決定会合で長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用を一部見直し、長期金利の変動許容幅を従来のプラスマイナス0.25%程度からプラスマイナス0.5%程度に拡大させることを決めました。緩和の修正は予想されていなかっただけにネガティブサプライズとなり、日経平均は一時800円以上下げ節目の26,500円を割り込む場面もありました。そのため下値への警戒感が一段と強まりそうですが、25日移動平均線とのマイナス乖離が一気に4.7%まで広がったことや、4日間で1,600円近くも下げていることから明日以降の自律反発に期待したいところです。

なお、日本時間の22時30分には11月の米住宅着工件数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)