今週（12月9日～12月15日）の相場動向

相場回顧 BTC：米11月CPIを受け18,000ドルを回復するも、FOMC後に下落

ビットコインは、FTXグループ元CEOであるサム・バンクマン・フリード（SBF）氏の米公聴会出席を巡って様々な憶測が飛び交うなか、もみ合いとなった。12月12日にはSBF氏がバハマで逮捕され、米国においても詐欺やマネロンの容疑で刑事告訴された。大手暗号資産取引所バイナンスに対する訴訟の可能性が報じられ、BTC＝230万円（17,000ドル）を割り込む場面もみられた。

しかし、12月13日に公表された米11月の米消費者物価指数（CPI）が市場予想を下回ると、インフレ率のピークアウトが意識されて米国株とともに上昇した。バイナンスが一時出金停止措置をとり、同社の信用不安が強まったが、その後、同社CEOであるチャンポン・ジャオ（CZ）氏が事態の収束をSNS上で呼びかけた。

これを受けて安心感から買いが強まり、BTC＝244万円（18,000ドル）を上抜けた。12月14日の米連邦公開市場委員会（FOMC）では利上げ幅縮小となったが、2023年末の政策金利見通しが引き上げられ、パウエル米連邦準備制度理事会（FRB）議長もタカ派姿勢を維持したことで米国株とともに下落した。

来週（12月16日～12月22日）の相場予想

BTCは米FOMC通過で買いが強まる可能性も、バイナンス動向は注視

金融市場では、年内最後となる米CPI発表と米FOMCを通過し、いよいよ年末が意識される。イベント通過による安心感から株式とともに買いが強まることは考えられるが、2023年にかけては米国における利上げ期間が想定以上に長くなるとの見方から積極的な買いに動きづらい面もあり、もみ合いの展開を予想する。来週は日銀金融政策決定会合も控えているが、黒田総裁が利上げに言及することは考えづらく、相場への影響は軽微だろう。

暗号資産市場では、FTXグループ破綻の影響で、大手暗号資産取引所バイナンスの健全性が危ぶまれている。同社CEOのCZ氏はマーケットを安心させようと努めているが、財務状況については不透明な部分が大きい。追加の情報開示などによって投資家の不安を払拭することができれば上昇することも考えられるが、訴訟や破綻への懸念が強まればさらに下落するリスクもあるだろう。FTXグループ元CEOのSBFを逮捕した後、事件の新たな真相が明らかになるかにも要注目である。

直近上値としてBTC＝257万円（19,000ドル）、下値としてBTC＝217万円（16,000ドル）を意識する。

※1ドル＝135.50円で換算（執筆時）