世界中の長期金利が低下しています。日本はもとより、欧州、そして利上げ時期が取りざたされる米国でも長期金利は大変低い水準にあります。
長期金利が低下するというのはどういうことでしょう。お金を借りて投資を行おうとする意欲・需要の減退、つまり一般的には成長や景気の減速を表します。国は景気刺激のために金融緩和=金利を低く抑えるという手法を取りますが、世界中がそうした政策を施し、それ以上手が打てないレベルにありながら、なお金利が低下するというのは非常に厳しい状況です。

ところで、皆さんはクレジットカードを保有されていますよね。「リボ払い」のキャンペーンなどのお知らせを頻繁に受け取っていませんか?
リボ払いというのは、毎月のカード支払い額を一定にする方法で、一見月々のお金のコントロール上便利なものに見えます。ですが、実は注意しなければいけない落とし穴があり、ここにも金利(利率)が絡んできます。

リボ払いを行うためには残高に対して一定の手数料がかかるのですが、これは年率何%と算出されます。一体どのくらいの手数料率なのかご存知でしょうか?カード会社毎に異なりますが、実に年率数%から15%程度、その多くは10%を超えています。
上述の通り、世界的な低金利、ゼロ金利だ、マイナス金利だという中、預金をしても、お金が増えた実感のもてる利息もつかない現在、「手数料」という名前にはなっていますが、年率10%以上ものお金を支払うことになるのです。
カード各社がこぞってキャンペーンを行い、ポイントサービスなどを行うのも当然ですよね。大きな収益源となるからです。

こういう仕組みそのものを否定しているわけではありません。時として、手数料を払ってでも必要とされる場面はあるかと思います。
ただ、ポイントが加算されるから・・・等の理由だけで安易にリボ払いを選択すると、どれだけ余計にお金を払うことになるかということは知っておくべきでしょう。
お金をコントロールするということは、月々の支払を一定にまとめることではなく、収支のバランスを把握し、自分の身の丈にあったお金の使い方をして赤字会計にならないようにすることです。
金利が低い時は、お金を働かせて増やすことは簡単ではありません。預貯金等安全資産はほとんどお金を増やしてくれませんから、リスクをとって市場と向き合う必要も出てきます。
お金を増やす場面においてはシビアに金利比較(例えば預金金利の比較)を行いながら、支出の場面で世界中探しても見当たらない高水準の金利を何も考えずに支払ってしまうのは全くおかしな話ですよね。

金利はこうした生活に密着したところにもかかわってきます。手数料等の仕組みを知り、無駄な出費を抑えるだけでもお金のコントロールの水準がぐっと上がることを覚えておきましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員