東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに反落となりました。215円安の27,670円で寄り付いた日経平均は取引開始から10分弱で239円安の27,646円まで下落した後持ち直すと10時40分過ぎに99円安の27,786円まで戻し128円安の27,756円で前場を終えました。再び下げ幅を広げ181円安の27,704円でスタートした後場の日経平均は13時20分過ぎに141円安の27,744円を付けた後大引け間際に208円安の27,677円を付けるなど27,700円を挟んで小幅に揉み合うと結局199円安の27,686円で取引を終えています。
一方新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。
2.個別銘柄等
昨日の米国市場で主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が大幅安となったことで日本市場でも半導体関連株が売られました。なかでも東京エレクトロン(8035)が3.8%安となったほか、レーザーテック(6920)も5.0%安となりました。
また、投資判断と目標株価の引き下げを受けて売られたのがクレハ(4023)やニコン(7731)で、クレハが一時3.7%安となり、ニコンも一時2.7%安となりました。
一方で経済産業省が2050年に温暖化ガス排出量を実質ゼロにする目標に向けた送電線整備計画の素案で、必要な投資額が概算で6兆-7兆円規模になるとの見通しを示したことで電線株に物色の矛先が向かいました。なかでもフジクラ(5803)が3.7%高となり、昭和電線ホールディングス(5805)も一時2.9%高となっています。小野薬品工業(4528)も一時2.3%高となりました。米エクイリウム(EQ)が開発中の免疫不全治療薬「イトリズマブ」の独占的販売権を取得したと発表したことで収益の拡大を期待した買いが入りました。電池素材メーカーのダブル・スコープ(6619)も6.8%高となりました。韓国の子会社が韓国鉄鋼大手のポスコのアルゼンチン法人とイオン交換膜スタックモジュールの供給に関する基本合意書を締結したことを発表したことを材料視した買いが入りました。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は199円安となりました。米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めの長期化を警戒した売りが続き、昨日の米国市場が大幅下落となったことで反落となりました。
しかし、一時240円近く下落しましたが75日移動平均線(27,603円)を前に下げ渋ると99円安まで持ち直す場面もありました。
また、TOPIXは75日移動平均線(1,936ポイント)をサポートに下げ渋るとプラスに転じる場面もありました。このように日経平均とTOPIXが揃って75日移動平均線近辺での底堅さをみせたことから年末の株高に向けてここからの切り返しを期待する見方も出てきそうですが、こうしたなかで仮に買いが優勢となった場合には日経平均が昨日、引けで上回ることができなかった25日移動平均線(27,898円)を超えて水準を切り上げることができるかが引き続きポイントとなりそうです。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)