早くも3月最終週、期末ですね。めでたく連載444回ですが、前回の「お金持ち入門」の続きは一旦お休みして、不穏な世界情勢の私たちの生活への影響について考えてみましょう。

「不穏な」としたのは、以下が主な理由です。

1.相次ぐテロ事件(地政学的リスク)

2.中国景気

3.米国景気(大統領選挙)
欧州各都市においてソフトターゲットのテロが頻発し、仕事で駐在、出張している人、観光客も容易に巻き込まれる恐れが高まっています。パリ、ベルギーと続きましたが、欧米およびアジア、オセアニアの都市もこれまでターゲットとされており、どこも絶対安全とは言えません。
人の動きが活発になれば、それだけお金の流れである経済は勢いづくもの。海外旅行せずとも、その分国内旅行が賑わうのであればよいのですが・・・。

人の流れという意味で中国や台湾からの訪日団体観光客による「爆買い」は日本経済には大いに貢献してくれています。1の理由で、比較的安全性の高い日本への旅行客が増えるのは、関係業界にとってはありがたいことですが、その主である中国は景気減速しています。
日経新聞による「社長100人のアンケート」でも、中国景気は悪化との答えは55.2%に上り、それは日本企業の経営にマイナスと認識(66.1%)とのこと。ですが、訪日外国人の消費については引き続き期待値が高いようで、その点は個人的には疑問です。日本人もバブル期に人々がこぞって海外に行き、ブランド店や免税店でそれこそ「爆買い」したものでしたが、バブル崩壊後その流れは一変しました。母国の景気は悪化しているけれど、個人の海外旅行での消費はますます活発に・・・というのはなかなか難しいのではないでしょうか。

ちなみに同アンケートでは、米国景気は拡大(74.4%)とありました。FOMCでの追加利上げはペースダウンするとしていますし、11月の大統領選の結果次第で大変な事態になりかねない状況です。
共和党トランプ氏の勢いが止まらず、万が一にも彼が大統領になる可能性があるのです。トランプ氏は長年反日感情が強く、まさか選挙戦での言いたい放題がそのまま政策になるはずはないものの、世界に対して開放的拡大的な経済活動が奨励されると期待を持つのは難しいでしょう。

世界情勢は、残念ながら厳しく感じることばかり目立ちます。景気回復と言われた時は実感できる個人が少なかったのに、景気減速はあっという間に個人を直撃します。
それでも現時点では突然の大暴落ではなく、不安定な見通しという段階です(もちろん突然の急落がないとはいえませんが・・・)。
リスクの高まりを感じても、資産は国内預貯金・・・ではマイナス金利のもとでは意味はありません。流動性資金は確保しつつ、投資先への今後の影響についてチェック、移動等をしておくことは必要そうですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員