先日、とある雑誌の仕事で「お金持ち」についてあらためて考える機会がありました。お金はあればあるほど幸せ?多くの人は「もちろんたくさんお金があるに越したことはない!」と即答されるかもしれません。そもそもお金持ちの定義も人それぞれですよね。

実際に大金持ちになった人は皆幸せなのでしょうか?
米国などの巨額な宝くじに当たった人のその後を追った番組を見たことがありますが、周囲の人間関係等が悪化するなど、あまり幸せになっていないケースが多いようでした。自身の想像を何桁も超えるようなお金だと、何に使っていいかわからない、無駄に使ってせっかくの資産をなくしてしまう、人を信用できなくなり家庭崩壊する、挙句は騙される等犯罪に巻き込まれる・・・と大変なことも多そうです。

FPとしては、必要十分なお金があって自分の望む人生に「困らない生活」ができることを目標にライフプランニングします。
お金がもっとたくさんあれば望む生活そのものも変わるかも・・・確かにそうかもしれません。でも自身が望んでいるものよりも「ちょっと贅沢」ができるだけでも人はかなり幸せを感じると思いませんか?
そのくらいであれば、上手に投資を行うことで叶えられる可能性は出てきます。(現在の金利水準では預貯金の利息だけでは厳しいですね。)

自身の努力で収入が予想以上にアップ、または投資がうまくいって資産が増えてきているというような人はその機会を十分に生かし、将来資産を、予定を超えて増やせる大きなチャンスです。
ところが残念なことに、そうした将来につながるチャンスをなくしてしまうような勘違い行動もけっこう多く見受けられるのです。前述の「ちょっと贅沢」の昂揚感がついついエスカレートしてしまう悪いパターンです。自身が望んでいるのではなく、下記のような周囲に合わせようとする気持ちで過剰な消費に走ってしまうのです。

・理想のマイホームを買ったら、ご近所の人の乗っている車のレベルに合わせて車を買い替えたい。

・子どものお受験がうまくいったので、新しい学校のママ友が身に着けているものと同等のものを身に着けたい。

・子どものお稽古事、習い事はお友達と同等にしたい。

等々。
せっかく夢や希望が叶った後に、見栄や体裁のためだけの出費=「背伸び支出」を繰り返すようになってしまう人もいます。そのために将来のために貯蓄に回すべきお金がなくなるどころか、借金がかさんでしまうといった最悪の方向に進んでしまうことも。

もし、予定以上にお金を手にする幸運な機会があれば、そんな時こそ背伸びし過ぎずに、より冷静に自身の思う「お金持ち」になるための一歩と捉えるようにしていくべきですよね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員