東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて3日続落となりました。171円安の27,991円で寄り付いた日経平均は取引開始から20分余りで262円安の27,899円まで下落した後10時30分過ぎに106円安の28,055円まで持ち直しましたが、節目の28,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると前引けにかけて下げ幅をやや広げ163円安の27,999円で前場を終えました。156円安の28,006円でスタートした後場の日経平均は12時40分過ぎに177円安の27,985円まで下落しましたが、その後やや戻し28,000円を小幅に上回って推移すると結局134円安の28,027円で取引を終えています。

一方で新興株は堅調で東証マザーズ指数が上昇となっています。

2.個別銘柄等

エーザイ(4523)が6.2%安となりました。バイオ製薬の米バイオジェン(BIIB)と共同開発するアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」の治験参加者が脳出血で死亡したと伝わったことで売りが膨らみました。多木化学(4025)も7.6%安となりました。人工栽培に成功したマツタケの近縁種のキノコ「バカマツタケ」について商業生産設備の着工を2023年以降に延期すると発表したことが嫌気されました。

また、米アップル(AAPL)のiPhoneを組み立てる中国の工場で混乱が生じ今年のiPhoneの上位機種の生産台数が600万台減る可能性が高いと伝わったことでアップル関連銘柄が安く、アルプスアルパイン(6770)が一時3.9%安、太陽誘電(6976)が一時3.2%安、村田製作所(6981)も一時2.0%安となりました。

一方でダイドーグループホールディングス(2590)が4.0%高となりました。第3四半期の営業利益はコーヒー豆など原材料価格の高騰が重荷となり前年同期比で55.7%減と大幅な減益となりましたが、四半期ベースの営業損益をみると第1四半期が7億円に近い赤字、第2四半期が14億円強の黒字、第3四半期が16億円の黒字と改善傾向にあることから買いが優勢となりました。さらに投資判断と目標株価の引き上げを受けて住友大阪セメント(5232)や太平洋セメント(5233)が高く、住友大阪セメントが一時3.2%高となったほか、太平洋セメントも一時4.4%高となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は134円安となりました。新型コロナウイルス対策への抗議活動が中国の景気悪化を招き世界経済に波及するとの懸念が強まったことで昨日の米国市場が大幅下落となったことで売りが優勢となり、一時は260円以上下げ節目の28,000円を割り込む場面もありました。

しかし、朝方の売り一巡後に持ち直すと28,000円を上回って取引を終えました。28,000円を前に下げ渋った昨日に続いて、本日も28,000円を引けで維持したことから28,000円近辺での底堅さが改めて意識されそうですが、28,000円を上回ってくると押し戻される展開が続いているだけに明日以降も28,000円を引き続きキープすることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の30日午前0時には11月の米コンファレンスボード消費者信頼感指数が発表される予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)