米ドル/円 日足
週間予想レンジ:136~141.50
メインストラテジー:戻り売り
・メインは抵抗ラインを確認
・逆張り意欲はなお旺盛
・米雇用統計次第か
アナリシス:
米ドル/円相場は先週142.26円をトライしたものの、再度頭売りを果たし、週足では陰線で大引けした。先週切り返しの勢いを踏襲できなかった上、2022年3月安値から6月安値を連結する元支持ラインの延長線を見事にタッチしてから反落し、同ラインを抵抗ラインと一旦認定、頭の重い構造を再確認した。
先々週の米10月の卸売物価指数(PPI)の低下を受け、11月15日に一旦137.68円をトライしたものの、その後切り返し、「底割れ」を回避した。しかし、値幅が極めて限定的だったため、急落後の小幅保ち合いが続くといった拮抗局面に入ったとみている。先週の反落自体もその一環と言えるが、総じて弱含みであったことは確かだ。
11月第2週に大きく続落し、値幅を拡大させ、長大線と化していた。米10月の消費者物価指数(CPI)が想定より小さく、米国株の急伸と共に米ドル全体が売られ、米ドル/円の底割れをもたらした。底割れとは一気に9月22日安値を割り込み、またそれ以下に大引けしたことを指し、変動率の拡大もあって、米ドル/円におけるトレンドの転換を示唆した。そのため、先週の再度頭打ちは、一段と構造上の転換を証明したわけだ。
もっとも、11月第2週の大陰線が決定打であっただけに、その兆しはあった。11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)通過後、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長のタカ派発言を受け、一時145.68円の安値から切り返したものの、148円前半に留まり、米利上げ余地の拡大が想定される中、上値追いの勢いは示されなかった。11月4日の米雇用統計自体もさらなる利上げを支持する内容となったが、一転して米ドル売り優勢の展開となり、146.59円にて大引けし、多くの市場参加者を驚かせた。
言ってみれば、米利上げ見通しの強化自体が米ドル買いに繋がらず、円売りの限界が見えてきたわけである。米ドルのロング筋が圧倒的に多かった分、米CPI指標がリリースされた後、米ドルのロング筋は一斉にポジションを手仕舞いし、米ドルの急落や円の急騰をもたらしたわけだ。こういった事情に鑑み、先週の再度頭打ちも、同週足型の支配力を証明する存在となった。
2011年の円高阻止介入と同様、2022年10月の日銀による円安阻止介入は結果的に歴史に残る成功事例となりそうで、目先としてはなお高値圏での保ち合いに留まっているものの、先週の再度頭打ちで続落しやすい地合いにあると言える。
その一方、米利上げのプロセス自体はなお継続され、米2年国債利回りが本格的な反落を見せないうちに、米ドル/円の下値余地も限定されるだろう。さらに、個人投資家をはじめ、逆張りの意欲はなお旺盛であり、米ドルロングポジションの解消はこれからも続くと思われるが、当面下値を限定させる可能性がある。今週の米雇用統計次第では、下値打診の可能性が大きいが、その前に安値圏での保ち合いを維持するだろう。戻り売りのスタンスで臨みたい。
豪ドル/円 日足
週間予想レンジ:93.00~95.50
メインストラテジー:押し目買い
・再度陽線で基調を保つ
・値幅限定でも強含み
・豪ドル次第で上放れか
アナリシス:
豪ドル/円相場は先々週と同様、値幅が限定されたものの、陽線で大引けした。これは先々週と同様、他ならぬ基調の一段改善を示した。豪ドル/円は底堅く、保ち合いの延長があってもこれから上放れの蓋然性が大きい、という見方は維持される。
もっとも、11月第2週の波乱自体も示唆が多かった。一時95.21円の高値トライがあったものの、92.64円まで売られ、中段保ち合いのさらなる延長を暗示した。もちろん、米CPIを受けた波乱であったが、本質的には円の急騰が主導した変動率の拡大に過ぎなかった。
しかし、先々週に続き、先週も陽線で大引けしたことを受け、変動率の拡大があっても「コップの中の嵐」であった。第2週の波乱自体は、本質的には「ダマシ」的な存在であったことも、先週にて再度証明されたと言える。
もっとも重要な週足は、10月17~21日に形成され、同週に大陽線があって、その後の値動きと「インサイド」のサインを形成し、10月後半以来5週間連続のため、構造上の強さを暗示し、これからの上放れを果たすだろう。
理屈としては、同週波乱となったものの、結局のところ大陽線を形成し、10月13日の底打ちを証明した。日銀介入など大きな材料があったが、豪ドルの優位性が発揮され、また基調の改善がむしろ確認されたことにより、一段上値トライの機運が高まっている。先週の値動きもその一環であり、先々週の切り返しは中段保ち合いとの基調を強化したとみている。
日足では、10月13日のサインは重要であった。同日一旦90.82円をトライしたものの、強気を切り返し、日足では「スパイクロー」の陽線をもって「強気リバーサル&アウトサイド」のサインを形成、底打ちを示唆した。その後日銀の大規模介入を想定していたが、結果的に同日のサインを強化することとなり、ブル基調への復帰を決定させた。
従って、32年ぶりの高値を一旦更新した米ドル/円に比べ、豪ドル/円は大きく出遅れた。その大きな背景として、米ドル全面高の中、豪ドルの優位性が試されてきた経緯があった。しかし、10月以来豪ドル対米ドルの切り返しは順調であり、豪ドルの優位性が証明され、これから出遅れを挽回してくるだろう。
また年初来高値更新を果たしたユーロ/円や英ポンド/円に比べ、豪ドル/円の年初来高値更新がむしろ自然のなりゆきであり、上放れはこれからだとみている。93円大台の維持自体を、強含みのサインと受け止める。
そもそも豪ドル対米ドルの反落が大分続いてきたものの、水準的にはなおコロナショック直後の安値より大分上に位置しており、「底割れ」を果たしたユーロや英ポンドに比べ、豪ドルのほうがむしろ堅調であり、構造上の優位性を持っている。先週の値幅限定、また93円大台の維持自体が地合いの証拠となり、豪ドル次第の上放れは時間の問題とみている。
ただし、米ドル/円次第では一旦下放れ、即ち一旦93円関門割れもあり得るため、注意が必要である。この場合は同関門割れが「ダマシ」となる公算が大きく、そのためあくまで押し目買いのスタンスで臨みたい。