「チャイルショック」という言葉を聞いたことがありますか?
ここのところ、市場を揺るがしている二つの要因「中国(チャイナ)減速不安」と「原油(オイル)安」から成る、某誌による造語だそうです。なんでも省略語にすればよいわけではありませんが、確かにこの二つは現市場の大きなネガティブ要因に他なりません。こうした背景の下、日銀が異例の「マイナス金利」という黒田バズーカ第3弾を放ち、円安誘導のためとも言われました。輸出国である日本にとっては円安による株高効果が期待できることはご承知の通り。
理論上では金利が高い通貨が買われます。金利がマイナスともなれば当然売りの対象となり、円安に向かうことが予想され、事実、直後は円安に振れました。
ところがです!チャイルショックの重石、合わせて米国経済失速への懸念は日銀の思惑を超え、世界のマネーがリスク回避に向かい出したのです。
日本の資産はそれほど安全資産なのか、と厳密にいえば疑問ではあるものの、昨今の市場では安全=日本が定石になっていますよね。多少のコスト(マイナス金利分)を支払ってでも円資産に変えておくことを望む投資家が多い証拠が先週急激に進んだ円高です。
一部では世界恐慌の始まり、そこまで行かなくともリーマン・ショックの再来、などと言われ出しています。厳しい状況の裏付けの一つが、すでに日銀が「マイナス金利」という究極のカードまで切ってしまったということ。これ以上、日銀が市場にサプライズを与えるような施策は取れないのではないか・・・という不安は広がっています。
ここまで読むと、ネガティブ一色に感じられますよね?現在外貨建て資産や株式等保有されている方にとって、楽しい状況でないことは間違いないのですが、投資は目先だけでなく、同時に長期視野に立つことを忘れないでいただきたいのです。
リーマン・ショック後の世界同時株安以降、日本株(日経平均)が再び2万円を超えてくるとはとても思えなかったことを思い出してください。ドル/円が再び80円を大きく割り込み75円台までいくとは誰が想像したでしょう。そのあとまた125円台を回復しているのです!日本株については確かにバブル絶頂期の水準には届いてはいませんが、相場というのは小さな上下を繰り返しながら、常に大きな波も作り出しているものです。世界経済が連動性を高めた今、長期的に「必ず」右肩上がりだ!とは言い切れませんが、ある程度の水準へ復活の可能性は十二分にあると期待できるでしょう。
もし長期投資家で、時間を十分かける余裕のある方であれば、冷静に買い時を探される良い機会になるのではないでしょうか。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員