これまでもよく報道されていましたが、特に高齢者を狙った投資詐欺がまた頻発しているようです。犯罪者はあの手この手を使っているようですが、その基本になる手口はよく似ています。それはかなり以前に、私に助けを求めてきた顧客が騙された手口も同じでした。
読者の皆さんは投資の何たるかをご存知で、市場原理もよく理解されていると思いますが、上述した「基本になる手口」はその市場原理、投資理論を無視したものです。
ですから、基本的な理解さえしていれば、そうした犯罪者の誘いを断ることはできるはずです。
彼らが決まって使う言葉が以下です。
「必ず儲かります。絶対安全で元本保証です」

そもそも一般に「儲かる」と言った表現を使う、いわゆる投資型の金融商品に「必ず」はありません。どんな金融商品にもリスクがあり、儲かる率が高いほど(期待リターンが大きいほど)リスクは大きくなります。ですから金融機関において金融商品を販売するときに、そうした言葉はコンプライアンス上使用してはいけないものです。
必ず収入を得られると聞くと利息を受け取れる金利商品をイメージされるかもしれません。この超低金利時代に高金利がつくようにするには為替リスクのみならず、ソブリンリスク、もしくは裏に株式変動リスク等のリスクが伴う仕組み型などにしなければ成り立ちません。その場合「絶対安全」も「元本保証」も言えません(そもそも「絶対安全」という表現はどんな場合にも使えません)。

投資の世界はボーダーレスに同じ市場原理の上に立っていますから、世界のどこを探しても、「儲かる」と「絶対安全の元本保証」の両立した金融商品は存在しえないのです。ですから「ごくごく限られたお金持ちだけに紹介しています」だの「ここだけの内密なおいしい投資話です」といった言葉には騙されないでくださいね。

自分のことは自分で守る、自己責任と言われる投資ですが、そのためには基本を理解しておくことは何よりも大切です。既に投資を始め、現在も投資の勉強を続けている読者の皆さんは、当然基本理論は理解されているので、将来もし犯罪者に狙われても彼らの誘いに乗ることはないと信じます。
もしご自身の周囲にこれまで投資に無縁でいた高齢の方などがいらしたら、難しい(とその方が感じるような)説明はしなくとも、少なくとも「絶対安全」「確実」「必ず」といった表現を使う「元本保証で儲かる」話はまず詐欺なので断るようにと助言しておかれることをおススメします。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員