「荒れる申年」の名に違わず、年明けから波乱含みの相場展開です。日米とも株価下落の幅が大きく、円高進行、原油価格下落による実損だけでなく、心理的ダメージも大きいですね。市場は人の気持ちが反映される場所ですから、弱気な空気の蔓延はますます下向きの相場を作ってしまいます。イスタンブールやジャカルタのテロ事件、廃棄食品の流用、軽井沢のバス事故等、先週から駆け巡ったニュースは気の滅入るものばかりで、とても気持ちの高揚には結び付きません。

上がれば下がるのが相場の常ですから、本来こんな時こそ冷静な行動をしたいものです。長い目で見て、欲しかった銘柄が全体に引っ張られて割安になっていないか、様々な経済予想と照らして、現保有銘柄は今後も保有に耐えうるのか、見直してみてはいかがでしょうか。
景気回復と利上げを目標にまい進してきた昨年までとは、残念ながら世界の経済環境は変化してきていますので、安易な期待は禁物です。とはいえ、リーマンショックの頃に買っておけばアベノミクスで大儲けだったのに・・・と過去を振り返れば、大きく下がった時こそチャンスはあるもの。投資スタイルにもよりますが、下落圧力の強い時期はたとえ長期投資と思っていても、買ったまま放置せずにこまめに相場のチェックはしましょう。

原油安、円高は経済全体を見てマイナスの影響が大きく、多くの投資家にとってもネガティブ要因ですが、ガソリンが安くなる、灯油が安くなる、海外旅行に行きやすい、輸入品を買いやすい、と消費者目線では歓迎される一面も持っています。今シーズンのまれにみる暖冬も(ようやく冬本番の寒さ到来ですが)豪雪地帯では生活面で助かっている反面、スキー場の雪不足、冬物衣料が売れない、暖房機器などが売れないといった経済面での打撃があります。

物事には二側面あるということですが、株安も同様なことが言えるかもしれません。信用取引で売建てしている人やベア型投信を購入している人、安値を狙って買いたい人にとってはチャンスとなります。今後も株価が不安定、下落傾向というネガティブな予想を持っている方であれば、そうした「チャンスを狙う」側に転じておくのも一つの方法ですね。
信用取引で売りから入るのは戦略的な投資スタイルですし、信用取引=危ない投機というイメージをもたれる方も少なくないかもしれませんが、ルールを決めて無理をしないことで、こうした荒れ相場にも強みを発揮するものです。
FXで同ペアのロングとショートの両建ては一般的に勧められないのと同様、信用取引も取引方法には十分注意してくださいね。

前述のように、荒れ相場にも泣く人笑う人の二側面があります。大笑いといった高望みはできなくとも、せめて泣きっぱなしにはならないようにしたいですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員