東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅に続伸となりました。30円高の28,020円で寄り付いた日経平均は直後にマイナスに転じると取引開始から30分余りで247円安の27,743円まで下落しましたが、前引けにかけて持ち直すと34円安の27,955円で前場を終えました。28円安の27,961円でスタートした後場の日経平均はまもなくしてプラスに転じると12時50分前に79円高の28,069円まで上昇しましたが、その後伸び悩むと結局38円高の28,028円で取引を終えています。新興株が高く東証マザーズ指数も上昇した一方で、TOPIXは小幅に下落と高安まちまちでした。

2.個別銘柄等

ソフトバンクグループ(9984)が一時4.1%高となりました。米長期金利の低下を背景に昨日の米国市場でハイテク銘柄の一角が買われるなか、出資先のアリババ集団(BABA)が急伸したことから買いが優勢となりました。三陽商会(8011)も13.4%高となりました。昼休み時間中に自己株式を除く発行済み株式総数の4.1%にあたる50万株と7億円を上限とする自社株買いを発表したことから後場に大きく上げ幅を広げました。ニチレイ(2871)も一時4.5%高となり年初来高値を更新しました。自己株式を除く発行済み株式総数の1.93%にあたる250万株と50億円を上限とする自社株買い発表したことに加え、国内大手証券が目標株価を引き上げたことで大幅高となりました。また、ナブテスコ(6268)も国内大手証券が投資判断と目標株価を引き上げたことで4.2%高となっています。

さらにロシア製のミサイルがポーランドに着弾したとの報道を受け地政学リスクが意識されるなか防衛関連の一角に物色の矛先が向かいました。東京計器(7721)が一時2.7%高となったほか、東京スタンダード市場では石川製作所(6208)が一時4.4%高、細谷火工(4274)も一時7.0%高となりました。

一方で米卸売物価指数の伸びが鈍化し市場予想を下回ったことで米長期金利が低下したことから生保株が安く、第一生命ホールディングス(8750)が3.6%安、T&Dホールディングス(8795)も4.1%安となっています。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は38円高となりました。ポーランド政府がロシア製ミサイルがウクライナ国境付近に着弾したと発表したことで地政学リスクが意識され一時250円近く下落する場面もありましたが、ミサイルがロシアから発射された可能性が低いとの見方が伝わったこともあり持ち直すとプラスに転じ節目の28,000円を回復しました。しかし、28,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。そのため28,000円を超えたところでの上値の重さが改めて意識されそうで、こうしたなかで28,000円で下値を固めてさらに水準を切り上げることができるかがポイントとなりそうです。

なお、日本時間の22時30分に10月の米小売売上高や10月の米輸出入物価指数が発表されるほか、23時15分には10月の米鉱工業生産指数と設備稼働率が発表される予定です。また、16日の米国ではシスコシステムズ(CSCO)やエヌビディア(NVDA)などの決算発表が予定されています。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )