東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は小幅反発となりました。23円安の27,940円で寄り付いた日経平均は9時40分過ぎに40円高の28,004円を付けた後10時20分前に60円安の27,903円を付けるなど昨日の終値を挟んで小幅に揉み合うと31円高の27,994円で前場を終えました。買いが優勢となり30円高の27,993円でスタートした後場の日経平均は12時50分過ぎに75円高の28,038円を付けた後やや上げ幅を縮め節目の28,000円近辺で推移すると結局26円高の27,990円で取引を終えています。

こうしたなか新興株も堅調で東証マザーズ指数も小幅に上昇しました。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したマツキヨココカラ&カンパニー(3088)やサンドラッグ(9989)が大幅高となりました。マツキヨココカラ&カンパニーは新型コロナウイルス感染拡大の第7波を受けて医薬品販売が伸びたことに加えて、仕入れの共通化による統合効果もあり通期の営業利益の見通しを530億円から578億円に上方修正したことで4.4%高となり、サンドラッグも上期の営業利益がディスカウントストア事業で食品やペット用品の販売が伸びたことなどから前年同期比で3.2%増となり減益を見込んでいた会社計画を上回って着地したことで6.1%高となりました。

また、塩野義製薬(4507)や第一三共(4568)も買われました。塩野義製薬は厚生労働省が新型コロナウイルスの治療薬「ゾコーバ」について緊急承認の可否を再審議するとの方針を発表したことで一時3.4%高となり、第一三共も開発中の新型コロナウイルスワクチンについて有効性や安全性が確認できたと発表したことで一時3.7%高となりました。エーザイ(4523)も5.6%高となりました。スイスの製薬大手ロシュが開発中のアルツハイマー型認知症治療薬で主要評価項目が未達だったと発表したことで、別のアルツハイマー型認知症治療薬を手掛けるエーザイに物色の矛先が向かいました。

一方で上期決算を発表したリクルートホールディングス(6098)やSMC(6273)が大幅安となりました。リクルートホールディングスは米求人検索サイトのインディードが好調で上期の営業利益が前年同期比で2.3%増となりましたが、市場予想に届かなかったことで6.7%安となりました。SMCは電子部品や樹脂部品で部材不足が続いていることで受注に見合う生産が十分にできていないことなどから通期の営業利益の見通しを2550億円から2485億円に下方修正したことで4.0%安となっています。電通グループ(4324)も6%安となりました。前年同期に本社ビルなどの売却益を計上した反動が出て第3四半期の営業利益が前年同期比で56.8%減となったことで売りがかさみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は26円高となりました。昨日の米国市場が反落となったことや、寄り付き前に発表となった日本の7-9月期の実質GDPが年率換算で前期比1.2%減となり4四半期ぶりにマイナス成長となったことで売りが先行しましたが、下げ渋ると後場に入って買いが優勢となりました。

しかし、節目の28,000円を小幅に上回ったところでは伸び悩みました。そのため28,000円近辺での上値の重さが意識されそうで、こうしたなかで28,000円を超えて水準を切り上げることができるかが引き続きポイントとなりそうです。

なお、日本時間の22時30分には10月の米卸売物価指数(PPI)や11月のニューヨーク連銀製造業景気指数が発表されるほか、15日の米国市場ではウォルマート(WMT)やホーム・デポ(HD)などの米国企業の決算発表が予定されています。

( マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之 )