<< <<【前編】米国株投資での成功を機に大学院進学への道を掴む
米国株インデックスファンドに毎月5万円ずつ積立投資
――ご著書『シン・米国株投資術』(KADOKAWA)には「月3万円で3408万円」というサブタイトルがついていますが、この資産を築く仕組みを教えていただけますか。
毎月3万円ずつ投資信託を積み立て、積立期間が35年(今30歳なら65歳まで)、リターンを年率5%でシミュレーションした場合、投資元本と運用収益の合計(最終積立金額)は3408万円になります。
3408万円のうち、投資元本は1260万円(3万円×12ヶ月×35年)にすぎません。残りの2148万円は投資で得られる収益です。元本の倍ぐらいの収益を得られる計算になります。
なぜかというと、長期投資では「複利の効果」が働くからです。投資で得た収益が元本に上乗せされ、それが新たな元本となって、さらに収益を生むため、資産が雪だるま式に増えていく仕組みです。投資を始めるのが早ければ早いほど、複利の効果で資産が増える可能性が高くなります。そのため、投資では長期で運用することが非常に大事だと思っています。
3408万円という金額についても、月々の積立額を増やせば、最終積立金額はもっと増えるでしょう。積立期間が延びた場合も同様です。運用リターンがさらに高くなれば、最終積立金額もより増える試算になるでしょう。
――現在は積立投資をメインにされているのでしょうか。
私は必要な投資目標金額は投資信託で作り、複利で伸ばしていきながら、成長性の見込める銘柄や暗号資産への投資でさらに伸ばす戦略をとっています。
――レイチェルさんは投資信託と成長性の見込める銘柄、暗号資産をどのような割合で保有されていますか。
現在は、米国の代表的な指数に連動する投資信託に毎月5万円ずつ積立投資していますが、「成長性の見込める銘柄」と「暗号資産」の定期的な買い付けは行っていません。そのため、結果として、保有資産は「投資信託」30%、「成長性の見込める銘柄」(ETFと個別株)60%、「暗号資産」10%程度となっています。「成長性の見込める銘柄」と「暗号資産」には、新規の投資はしていないので、将来的には投資信託の比率が上がっていくと思います。
各資産をどの程度の比率で保有すればいいのかは、人それぞれの状況に応じて変化するものだと考えています。
個別株では新しい価値や未来を創る企業に投資
――「成長性の見込める銘柄」を選ぶ上で、重視しているポイントは?
長期的な視点で見て、新しい価値や未来を創る企業へ投資したいと考え、今後の成長が期待できる分野でサービスを提供している業界のトップ企業に投資しています。
現状の保有銘柄は、アルファベット(GOOGL)、アップル(AAPL)、マイクロソフト(MSFT)、テスラ(TSLA)、エヌビディア(NVDA)、モデルナ(MRNA)、ペイパル(PYPL)、リビアンオートモーティブ(RIVN)、ユニティ・ソフトウェア(U)、「TECL(Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF 、ベンチマークはテクノロジー・セレクト・セクター指数の300%)」です。
――足元ではGAFAMの成長鈍化を指摘する声もありますが、レイチェルさんはどうお考えですか。
GAFAMは、巨大な資金力とグローバルな人材を活かし、失敗を繰り返しながらも新しい分野への投資を惜しまず、常に新しいサービスや付加価値を提供し続けています。これは大きな強みです。現状では、規制強化の影響などもあって逆風が吹いているものの、長期的な観点で見ると今後も成長が期待できると考えています。
――今、注目しているセクターや銘柄はありますか?
フィンテックとサイバーセキュリティに注目しています。銀行にしても、証券会社にしても、以前は敷居の高い存在でしたが、近頃ではスマホで口座開設から取引まで完結する便利な世の中になっています。今後も金融に関連した新しい社会インフラが作られるでしょう。また、景気が回復すれば消費が拡大し、決済需要も増加すると考えられることから、ブロック(旧スクエア)(SQ)やペイパルといったフィンテック銘柄に注目しています。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れが進展すれば、サイバーセキュリティも今まで以上に重要視されるでしょう。個人的には、クラウドストライク・ホールディングス(CRWD)に期待しています。
ペット関連にも注目しています。日本ではコロナ禍でペットを飼う人が増えましたが、米国でもペット市場が拡大しています。しかも米国では、ペット=家族という意識が強く、ペットにお金を惜しまないと人も多いとも聞きます。このような背景から動物医薬品の最大手であるゾエティス(ZTS)にも注目しています。
実は、私は動物が大好きで、将来は何かペットを飼いたいと考えているんです。それもあって、ペット関連の銘柄を応援したいなと思っています。
――今年は米国株式市場でボラティリティの高い局面が続いていますが、レイチェルさんはどのように見ていらっしゃいますか?
米国の主要株価指数の1つであるS&P500が年初から21%下落した局面もあり、多くの投資家が先行きを悲観的に見ているようです。
米国では物価が高い水準で推移しているため、米国の中央銀行にあたるFRB(米連邦準備制度理事会)がかなりの急ピッチなペースで利上げを続けています。株式市場は、中央銀行の金融政策の影響を受けるため、利上げが続けば株価は上がりにくい状況が続くでしょう。
個人的には、しばらくはこの状態が続くのではないかと考えています。米国株式市場は来年も厳しい状況が続きそうですが、再来年頃には景気が回復に向かい、株価も上がるのではないかと期待しています。
いずれにしても、先行きが見えにくい相場環境ですから、当面はコツコツと投資信託を積み立てることに専念しようと考えています。
毎日の情報インプットを自分の学びにつなげる仕組み
―――投資に関する情報収集は、どのように行われていますか?
Twitter、日本経済新聞電子版、CNBC、テレ東BIZ(テレビ東京ビデオオンデマンド)、Yahoo!ファイナンスを中心にチェックしています。
Twitterには情報の即時性というメリットもありますし、自分の関心事について、様々な人と手軽に意見を交わせる交流の場として活用しています。昨年12月には、Twitterで米国株インフルエンサーの方々にお声がけして、日替わりでリレー形式に米国株記事を発信する企画も行いました。
日本経済新聞電子版は、ビジネスパーソンとしての共通言語的な知識を得られるメリットがあり、情報量も豊富です。CNBCは、投資情報に特化したメディアなので、情報が早いうえ、無料で閲覧できる記事もたくさんあります。
テレ東BIZは、動画で経済情報を見られるので、文章ではなかなか頭に入ってこないことも理解しやすいですね。「モーニングサテライト」での情報収集をはじめ、「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」などの番組も視聴できる有料サービスを活用しています。
――米国株の状況とマーケットに影響のあったニュースをまとめた「レイチェルタイムズ」を発信されていますね。どのように作成していますか。
日経新聞やCNBC、テレビ東京の経済ニュース番組「Newsモーニングサテライト」で得た情報をベースに自分の言葉でまとめて、パワーポイントで作成しています。毎朝5時に起き、5時半頃から作り始めて、6時半頃に発信するよう心がけています。とは言え、「早起きして作り続けるのは大変だな」と感じることもありますよ(笑)。ご覧くださっている方からの反応をモチベーションにがんばっているところです。
平日毎日「レイチェルタイムズ」を発信することは私自身にとっても勉強になっています。投資を長く続けることで複利の効果が得られるのと同じく、勉強も日々の積み重ねが大事ですね。
――これから投資を始める20代、30代の方へのアドバイスをお願いします。
投資に関心はあっても、なかなか始められない人が多いのではないかと思います。私もそうでした。
でも、自転車を乗りこなすには、実際に乗ってみるのが一番効果的です。乗り方を調べて、知識を得ることも無駄ではありませんが、実践を伴わなければ一向に上達しないでしょう。投資も同じです。まずは一歩踏み出してみれば、短期的に不安が生じることがあっても20年、30年と長期で続けていくことによって投資で得られるメリットを感じられると思います。
――どうもありがとうございました。
※本インタビューは2022年10月24日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。