1枚画像で米国のマーケット状況を伝える「レイチェルタイムズ」を平日毎日Twitterで発信しているレイチェルさん。米国株投資を中心に政治・経済やマネーなど幅広いテーマを独自の切り口で語り、多くの支持を得ています。来年4月から大学院に通うことになったのも投資で資金が増えたことがきっかけだと話します。そんなレイチェルさんに投資歴や現在のポートフォリオ、注目している銘柄などをお聞きしました。
 
●レイチェルさんプロフィール●
京都出身の30代。大学卒業後、総合コンサルティングファームに入社。その後、ITメガベンチャー企業に転職。2023年4月からは大学院生に。2021年に開設したTwitterのフォロワーは8.5万人を超える(2022年11月現在)。2022年10月に著書『月3万円で3408万円の超安心資産をつくる!毎日5分のシン・米国株投資術』(KADOKAWA)を出版。

衝撃だった友人のお金の増やした話

――レイチェルさんは20代で投資を始められたのですね。

はい。社会人1年目の時に、大学時代の同期生でもある親しい友人からキャッシュ一括で車を買った話を聞いて「羨ましい!」と強烈に感じたことがきっかけです。大学時代から堅実に貯金をしていたとしても、社会人1年目でそんな経済的な余裕があるとは思えません。ビックリしたのと同時に、どうやってお金を貯めたのかが気になって質問したら、「投資で資産が増えたから」と言うのです。

2014年当時、アベノミクス相場で日本株が好調だったこともあり、友人が保有していた株価も大きく上がったそうです。さらにその友人は、数年後に20代で住宅を購入し、投資で増やした資産で住宅ローンを完済しています。

――ご友人の成功体験がきっかけで投資に興味を持たれたのですね。

それまではテレビやネットで投資の話題を見聞きしても、「私には縁遠い世界の話だ」と思っていました。もちろん、投資に全く関心がなかったわけではありません。でも、投資に手を出したら、がんばって働いて稼いだお金を減らしてしまうのではないかという不安の方が強く、なかなか最初の一歩を踏み出せませんでした。

そんな中、友人がリアルに投資で資産を増やしたことはとてもインパクトがありましたし、「私もやってみよう!」という強いモチベーションになりました。友人の存在が背中を押してくれたのです。

――その後すぐに投資を始められたのですか?

いいえ。投資への関心が高まったものの、私はすぐに行動を起こせるタイプではなく…。結局、証券口座を開設したのは、1年後の2015年8月。チャイナショックで日経平均株価が大きく下げたことを知り、「これは絶好の機会だ」と思って始めました。

当時は、口座開設の手続きをしたものの、書類を郵送でやり取りする必要があったため、申込みから口座開設完了まで2週間程度の時間が必要でした。1日でも早く投資を始めたいと思い、手続き完了が待ち遠しかったことを覚えています。

――どのくらいの資金からスタートされましたか? 

当初の資金は200万円程度です。「元手が少ないと、増えるのに時間がかかる」と考えていたので、会社の給与や賞与で貯めた資金に加え、生命保険も解約し、文字通りその時の全財産を投入しました。今考えると「私も早くお金を増やしたい」と焦りを感じていたのかもしれませんね。

含み益で芽生えた「もっと増やしたい」欲求

――投資を始めた頃は、日本株を買われたんですね。

そうです。コンサル業界でITコンサルをしていたこともあり、IT関連や人材関連の銘柄に興味がありました。それで、ディー・エヌ・エー(DeNA)(2432)やヤフー、クックパッド(2193)、サイバーエージェント(4751)、楽天グループ(4755)、リクルートホールディングス(6098)、パソナグループ(2168)、リンクアンドモチベーション(2170)などの株式を購入しました。

投資を始めたタイミングが、株式相場全体がチャイナショックによる下落から戻りはじめていた頃だったので、買った直後はほとんどの銘柄に含み益が出ました。収益を得たことで「投資資金がもっとあれば、もっと増やせるのに」と、もどかしい気持ちになったのです。それで信用取引を始めてみることに…。

FX・信用取引の失敗で資産があっという間に激減

――信用取引の成果はいかがでしたか?

信用取引を始めた2015年の年末から2016年年初にかけて、日経平均株価が急落しました。私が持っていた銘柄も株価が下がり、含み損を抱えることになったのです。

結局、追加の証拠金を入金できませんでした。その後、口座に残った資産は100万円。投資資金は増やしたいけれど、生活するにもお金はかかりますから、すぐに100万円や200万円を貯めることはできません。その焦りもあり、次にFX(外国為替証拠金取引)を始めました。

FXは、保証金を差し入れることで、投資資金よりも大きな金額の取引ができる外国為替証拠金取引です。利益を得た場面もありましたが、最終的には損失が出て、資産は50万円にまで減ってしまいました…。

――その後、どのように立ち直られたのですか? 

信用取引やFXでの経験は、立ち直れないくらいの失敗でした。当時は、何も考えられず、喪失感でいっぱいでしたね。

改めて振り返ると、当時の私が行っていたことは「投資」ではなく「投機」だったと思います。資産全部を投機してはいけない。資産全体のうち、どの程度をリスク資産で保有するかをしっかりと把握する重要性を学びました。投資を始めたばかりで、まだやり直しの効く段階での失敗でしたので、私自身は軽いケガと思える程度で済んだのです。

米国株投資を推す理由

――米国株投資を始めたきっかけを教えてください。

私は、FXで痛手を負ってから少し投資から離れていました。その転機となったのは2018年の冬頃にSNSで「米国株の投資信託を積み立てるだけで億り人になれる」という投稿を目にしたことです。それまで日本株しか視野に入っていなかった私にとって新しい発見でしたね。

GDP(国内総生産)の成長率を見ると、日本は米国と中国に次ぐ世界第3位ですが、2位の中国との差が驚くほどあいています。日本は2005年と変わりありません。一方で、米国は世界最大の経済大国であるうえに、低成長が続く日本とは違って成長を続け、移民を中心に人口も増えています。人口が増えれば、その分消費も増えます。そしてGAFAMなど、革新的な技術を次々と生み出す企業も米国で誕生しています。

【図表】世界トップ10のGDP成長率
出所:GLOBAL NOTE(出典:IMF)

しかも、当時の職場に、以前アマゾン(AMZN)に勤務していた先輩がいて、「アマゾンの株価はこの10年間ずっと上がり続けている。RSUという報酬の一部を譲渡制限付き株式でもらえる制度があったお陰で資産が増えている」と話していたことも思い出しました。実際に米国のIT企業の成長ぶりは著しいです。

これらのことを総合的に考え、2020年1月に投資資金を全額、日本株から米国株にシフトすることにしました。

――米国株を選ぶ基準について教えてください。

当初は、「VGT(バンガード・米国情報技術セクターETF、ベンチマークはMSCI USインベスタブル・マーケット・情報技術25/50インデックス)」という情報技術セクターに分散投資するETFを選びました。仕事柄、IT界隈に強いことと、IT業界は今後も成長を続けるだろうと考えたからです。VGTにはアルファベット(GOOGL)が組み入れられていなかったので、アルファベットだけ個別株で買いました。

2020年3月のコロナショックで株式市場が暴落したときには「これはチャンス」と考え、「TECL(Direxion デイリー テクノロジー株 ブル 3倍 ETF 、ベンチマークはテクノロジー・セレクト・セクター指数の300%)」という、情報技術セクターのETFである「XLK(テクノロジー・セレクト・セクター SPDR ファンド、ベンチマークはS&P テクノロジー・セレクト・セクター指数)」の3倍の値動きを目指すレバレッジ型のETFも購入しました。

3月以降は相場が回復し、株価が大きく上昇したため、私の保有株も高値を付けました。でも、よく考えてみれば、この段階ではまだ「投資」ではなく「投機」だったのです。その状況に気づいて、投資スタイルをインデックス型の積立に変えようと決意。その後一部の銘柄を利益確定のために売却したお金は、大学院進学の資金に充てることにしました。

―――運用で得たお金を学費に充てるというのは、素敵なお金の使い方ですね。「もっと学びたいけれどお金がない」と考えている人たちの参考にもなりそうです。

参考にしていただけると嬉しいです。最近、大人のリスキリング(学びなおし)の機会も増えていますしね。ただ私の場合は、コロナショックで株価が落ち込んだタイミングでETFを買ったことにより資産を増やすことができ、その結果大学院に行ってみようと考えました。タイミングもよく、運が良かったという面もあります。相場は日々変動しますしね。

大学院の学費は2年間で400万円かかります。そのため、少しずつ株式を売却して資金を捻出しつつも、仕事のほうも引き続き頑張っていくつもりです。

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※本インタビューは2022年10月24日に実施しました。
※本内容は、個人の経験に基づく見解であり、当社の意見を表明するものではありません。
※投資にかかる最終決定は、お客様ご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。