東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて続落となりました。257円安の27,459円で寄り付いた日経平均は9時30分過ぎに345円安の27,370円まで下落した後11時前に231円安の27,485円まで戻しましたが、節目の27,500円を前に上値が押さえられると前引けにかけて再び下げ幅を広げ325円安の27,391円で前場を終えました。306円安の27,410円でスタートした後場の日経平均は27,400円を小幅に上回って推移すると結局270円安の27,446円で取引を終えています。こうしたなか新興株も軟調で東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

上期決算を発表したホンダ(7267)が4.0%安となりました。円安や値上げ効果が当初の想定を上回ることなどから通期の営業利益の見通しを8300億円から8700億円に上方修正しましたが、市場予想に届かなかったことで大幅安となりました。また、上期決算を発表し通期の業績予想を下方修正した神戸製鋼所(5406)やカシオ計算機(6952)も大幅安となりました。神戸製鋼所は素材系事業で自動車向け需要の回復が遅れ販売数量が減っていることなどから通期の営業利益の見通しを750億円から550億円に引き下げたことで7.5%安となり、カシオ計算機も主力の時計事業で中国市場の販売計画を「ゼロコロナ政策」の継続を見込み引き下げたことなどで通期の営業利益の見通しを270億円から240億円に下方修正したことから5.7%安となりました。

第3四半期決算を発表したクボタ(6326)も7.0%安となりました。部品不足を受けて主力の北米地域で出荷が遅れているうえ、タイでの洪水による販売減の影響もあり通期の営業利益の見通しを2600億円から2400億円に引き下げ、増益予想が減益予想に転じたことで売りがかさみました。

一方で上期決算を発表したフジクラ(5803)が16.4%上昇しストップ高となり年初来高値を更新しました。データセンター向けの通信線需要が堅調に推移しているうえ、円安も業績を押し上げることなどから通期の営業利益の見通しを500億円から685億円に上方修正したことで買いを集めました。前引け後に上期決算を発表した川崎重工業(7012)も5.3%高となりました。北米や東南アジア向けの二輪車やエンジン事業の売り上げが伸びていることなどから通期の事業利益の見通しを560億円から760億円に引き上げたことで後場に上げ幅を広げました。ネクソン(3659)も5.1%高となりました。自己株式を除く発行済み株式総数の2.9%にあたる2500万株と500億円を上限とする自社株買いを発表したことを好感した買いが入りました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は270円安となりました。米中間選挙で上院が接戦となり民主党が予想以上に善戦していることから上下両院で共和党が勝利すれば株高につながるとの期待が後退し昨日の米国市場が大幅反落となったことで売りが優勢となりました。こうしたなか朝方の売り一巡後にやや下げ渋ると一目均衡表の雲の上限(27,422円)を小幅に上回って取引を終えましたが、10月の米消費者物価指数(CPI)の発表を控え様子見姿勢も強く一日を通して節目の27,500円を下回って推移しました。

その米CPIは日本時間の22時30分に発表となります。前年比で総合とコアともに前回9月分の伸びを小幅に下回る見込みとなっていますが、今後の米連邦準備理事会(FRB)の金融政策を占ううえで関心が高い経済指標だけにマーケットの反応が注目されます。また、決算発表が続いていますが本日も引け後には富士フイルムホールディングス(4901)やマツダ(7261)、東京エレクトロン(8035)などが決算を発表する予定です。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)