新聞を連日賑わしている「軽減税率」。とりあえずは酒類・外食を除く食料品全般を軽減税率の対象にすることに自公が同意にこぎつけたと報道がありましたね。
「軽減・・・」というと負担が軽くなる印象が強いですが、あくまで消費税が10%に引き上げられた時に現行の8%を残す対象を作る、という話ですから「軽減」というよりは「据置税率」と言った方がわかりやすいのではと思います。

この方法については当然賛否両論があり、何が公平で不公平なのかという議論がなされています。
細々とした設定や既に白紙化されたもののマイナンバーを提示させてキャッシュバックをする方法(新しく手続きを行うセンターを作る)等余計なコストと手間を増やすことは間違いや不正を招くことにつながりやすいと個人的には思っています。
欧米では既に軽減税率を導入している国がいくつかありますが、チョコレートのカカオの含有量(フランス)や、ドーナツの個数(カナダ)で税率が異なるなど、外から見ると「?」と感じてしまうところも多いです。
税金については分かりやすいことが大切なのではないでしょうか。
証券税制も税率が上がるのはありがたくはないとはいえ、金融資産全般の税率(金融所得課税)が一体化されることで損益通算もできるようになりますし、資産管理もわかりやすくなってきますよね。

第424回 「鬼が笑っても・・・税制改正のこと」
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2015/10/19.html

上記コラムを執筆したときは来年、2016年(平成28年)はまだまだ先・・・という気持ちで書いていましたが、気が付けば12月も半ば。税制改正もあと3週間後には施行されるわけです。海外の市場はそろそろクリスマス休暇に向けて手仕舞いを始める時期となりました。
上記コラム時点に比べると先週金曜日に急落したとはいえ、ドル高円安水準となっており、お持ちの外貨建て商品の為替の含み益が大きくなっている方もいらっしゃるのではないでしょうか?来年以降外貨MMFや外貨建て債券(利付債)の売却時には為替差益に課税されるようなるため、税制面のみで判断するのであれば年内に売却するというのも一つの方法です。逆に為替差損が出ているような外貨建て債券などは来年以降に売却すれば損益通算の対象になりますので、その点もぜひ覚えておきましょう。
ただし、「税制面のみで判断するのであれば・・・」と限定した注意点は以下にあります。例えば分散投資のポートフォリオを保つために一度売却して再度同額買い直すという方法があり、為替差益の益出しも非課税でできるのは事実ですが、売買時その都度為替手数料がかかってくることをお忘れなく。
ご自身の為替差益の金額、かかってくる為替手数料等を念頭に入れてから行わないとかえって手数料分の持ち出しになることもありえます。

投資も税金も細部だけ比較したり、議論したりするのではなく大局でとらえるようにしたいものですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員