サイバーマンデーでは、米国のオンライン消費支出が31億1,800万ドル(暫定推定値)に達し、1日におけるオンライン支出額で初の30億ドルの大台に乗る結果、かつサイバーマンデーの支出額は昨年比21%増という好結果だったとのこと。ブラックフライデー当日が静かな滑り出しだったことを考えても、消費行動がオンラインにシフトしつつあることの証明ともなりましたね。
私自身もつい「ポチッ」とネットショッピングする方が、実店舗に出かけるよりずっと多くなったように思います。

先週は欧米の対照的な金融政策の方向性を目の当たりにしました。
欧州ECBは木曜日に追加金融緩和を発表したものの、そのサイズが予想より小さかったために市場からは失望されました。より大きな景気刺激・対策が必要、景気が足踏みし先行きが不安だと思われているということです。
反対に金曜日の米雇用統計では、予想を上回る堅調さで、市場では年内利上げが濃厚ととらえる空気が占めてきているようです。冒頭のサイバーマンデーの消費行動も景気の底堅さの表れと捉えられています。

より大きな金融緩和が必要と思われる欧州、金融引き締めが期待される米国、足元に不安の大きい中国、と世界経済を大きく占める経済圏が見事にバラバラな状況にあります。いずれの国、経済圏からも多大に影響を受ける日本は現在のところ比較的堅調と言えますが、微妙なバランスにあるこの状況において、欧米で真反対の金融政策が実施されることによる金利差拡大により、株や為替のみならずマネー全体の動きがますます加速することも考えられますね。

見方によっては教科書的に分かりやすい状況とも言えます(と言っても実際の動きが必ずしも教科書通りにいかないことはご存知のことと思います。)。経済の強さを基本通貨として米ドル、ユーロ、日本円で見てみましょう。中国元も国際通貨の仲間入りと言われますが、流通状況を鑑みてここでは上記3通貨の比較にとどめますね。
金利が高く、景気が良い国の通貨は買われるというセオリーに基づけば、当面は
米国ドル>日本円>ユーロ

となるはずですよね。
ここで注意すべきは、景気状況はすぐに変わることがなく、金融政策も効果が目に見えてくるまでには多少時間がかかりますが、市場というのは全てを事前に織り込もうとしていくものです。つまり実際の利上げ前に利上げが織り込まれ、実際の追加金融緩和前には緩和されることが織り込まれるわけです。ですから先週、すでに織り込んでいた金融緩和よりも期待外れと思われる結果であったために、金融緩和したにもかかわらず(通貨が売られるはずなのに)ユーロは買い戻されたということです。

この「織り込み済み」という状況を理解、判断しないと「教科書と違う!」と感じることになりますので、市場を見るときは実際の景気状況、指標、そして市場がどう織り込んできているかを同時に捉える必要がありますので注意しましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員