先週、FOMCは利上げを見送り、ただし年内12月利上げの可能性を匂わせ、日銀も追加金融緩和見送りという決定。日米ともに市場にインパクトを与える金融政策は行わず、12月に向けての期待感もすでに織り込まれつつあるという状況で11月に入りました。

こうなると突発的なイベントが起こらない限り、いわゆる11月相場でしょうか。ということで、11月に言われるアノマリー(=理由はわからず合理的説明ができない現象、経験則)を集めてみました。

●「11月の最終週は株高」
これは日米株ともに言えるようで、昨年まで15年連続だとか。今年の11月最終週は30日月曜日のみですが、「11月の3連休明けは高い」という言い方もあるようですから、前週から要チェックでしょうか。

●「ブラックフライデー(米国感謝祭(=11月第4木曜日)翌日の金曜日)前後は高い」
ブラックフライデーは全米でセールが始まり、いわゆるクリスマス商戦の幕開けです。年末商戦は年間セールスの大部分を占めるほどの大消費時期ですから株高につながることが多いのです。となれば、上記についてもアノマリーといえども裏付けになりますね。米株高は日本株高につながる印象が強いですし。

●「11月はポジション調整」
主にFXで言われます。外国ヘッジファンドが11月末決算に向けて、または感謝祭休暇前にポジション調整するため利益確定売り等で大きく相場を動かすことが多いようです。確かに12月に入ると外国人は休暇モードに入ってしまい薄商いになることが多いですね。ですが今年は米国年内利上げの可能性というイベントを控えているので、さすがの外国人トレーダーも簡単に休暇モードとはいかないかもしれませんが・・・。

アノマリーは経験則というだけあって、過去何十年に渡って、市場を大きく動かしてきた主役、米国の事情が背景にあることが多いのです。
ですが、ご存知の通り、世界の経済事情は大きく変わりつつあり、20~30年前には市場ではそれほど注目されていなかった中国の存在感が米国を凌駕する勢いです。個人的には規制通貨である中国元が国際通貨基金(IMF)の準備通貨になるというニュースには驚きを隠せませんでした。今や、中国は「人口が多い=市場が大きい」というだけではないことを改めて感じ入りました。
もちろん中国の金融自由化も加速せずにはいられなくなることでしょう。近い将来、アノマリーにも中国事情が大きく関わってくることが考えられますね。

さて、始まったばかりの11月相場はアノマリー通りになるでしょうか。
心の隅に記憶しつつも、冷静に市場を見るようにしましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員