FOMC後の会見受け米株安・金利上昇・米ドル高に転じる

現地時間11月2日に米国のFOMC(米連邦公開市場委員会、日本の金融政策決定会合に該当)が開催され、政策金利は市場予想通り4会合連続で0.75%の利上げにより3.75-4%と全会一致の決定がなされました。なお、公表された声明文では以下の文章が新たに加えられました。

インフレ率を時間とともに2%に戻すべく十分に抑制的な金融政策スタンスを実現するためには、継続的な誘導目標レンジ引き上げが適切になると見込む。誘導目標レンジの今後の引き上げペースを決定する上で、委員会は金融政策の累積的な引き締めや、金融政策が経済活動とインフレに与える影響の遅効性、経済や金融の情勢を考慮する。

引き締め姿勢が継続されるものの、これまでの利上げの累積効果を見極める姿勢が示されたことは、積極的な利上げが最終段階に近づいている可能性を感じさせるものでした。

市場の反応はFOMC直後には米株高・金利低下・米ドル安という反応でしたが、その後会見を経て米株安・金利上昇・米ドル高となりました。

会見では、前回会合以降に入手したデータから金利の最終的な水準が従来の想定より高くなることが示唆されました。またどこかの時点で利上げペースを落とすことが適切になるだろうと指摘、その時期は近づいており、早ければ次回、ないしその次の会合となる可能性はある、何も決定していない、との説明でした。

その上で、政策金利が十分引き締まった水準になるまでにはなお幾分か道のりが残されていると強調、利上げ停止を考えるのはあまりにも時期尚早だとも指摘。最終的な金利水準は従来想定より高くなったとされました。

市場は利上げペースダウンを歓迎するも引き締め長期化を懸念

以上の状況から今後のFOMCの市場見通しにも変化が起きています。現在12月会合での利上げ予想は0.5%が最も有力になりましたが、最終到達金利の予想は5.08%と先週の4.85%から上昇し、また2023年末の金利見通しも4.8%と先週の4.5%から引き上げられました。

市場の反応は、会合直後に利上げのペースダウンを歓迎したものの、金融引き締めスタンス長期化に再度反応した動きと言えそうです。代表的な景況感指数である米ISM製造業景況指数は直近10月分50.2まで鈍化し、分岐点の50が近づいています。景気を抑制しインフレを鎮静化させる当局のスタンスが継続するなかで、当面景気は鈍化基調を示すことが見込まれます。

2023年の早い段階で10年金利ピーク予想

10年金利は4%超で推移しています。9月22日付のレポート『FOMCと今後の金利見通し』でも触れましたが、10年金利は実質金利が潜在成長率同等の1.9%程度まで、インフレ期待はFRBが物価目標とする2%程度とすれば、計3.9%がファンダメンタルズ上は適正と見えます。ただしインフレ期待は振れやすく、ロシアのウクライナ侵攻後は3%に到達していますし、2022年は概ね2.5%付近を推移しており、計4%超の状況継続も想定されます。

一方時間軸を考えると、今回のFOMCでも最終到達金利はやや押し上げられたものの、その時期は引き続き2023年前半と見込まれています。10年金利はこれまでFF金利に対して同時期から数ヶ月先行してピークを打ってきたことを勘案すると、また投資家の買い需要も想定されることから2023年の早い段階で10年金利もピークとなることが予想されます。