東京市場まとめ
1.概況
本日の日経平均は米国株安を受けて3日ぶりに小幅反落となりました。116円安の27,562円で寄り付いた日経平均は直後に132円安の27,546円を付けた後持ち直すとプラスに転じ10時40分過ぎに13円高の27,692円まで上昇しましたが、伸び悩むと昨日の終値を挟んで小幅に揉み合う展開となり7円高の27,686円で前場を終えました。2円安の27,676円でスタートした後場の日経平均は小幅に上昇する場面もありましたが、プラス圏では引き続き上値が重く概ね小幅安で推移すると結局15円安の27,663円で取引を終えています。一方でTOPIXは小幅に上昇となりましたが、新興株は安く東証マザーズ指数が下落となっています。
2.個別銘柄等
上期決算を発表したソニーグループ(6758)が7.0%高となりました。円安の進行で音楽事業や映画事業、半導体事業の収益見通しを引き上げたことなどから通期の営業利益の見通しを1兆1100億円から1兆1600億円に上方修正したことで買いを集めました。
同じく上期決算を発表し通期の業績予想を上方修正した日本製鉄(5401)やTDK(6762)も高く、日本製鉄は値上げや収益構造の見直しが寄与し通期の事業利益の見通しを8000億円から8700億円に引き上げたことで一時6.3%高となり、TDKも電気自動車市場の拡大を受け積層セラミックコンデンサーを中心とした部品の売り上げが想定より伸びることなどから通期の営業利益の見通しを1850億円から2000億円に引き上げたことで6.7%高となりました。取引時間中の13時に上期決算を発表したSUBARU(7270)も7.0%高となりました。円安や売り上げ構成の改善を受けて通期の営業利益の見通しを2000億円から3000億円に上方修正したことで決算発表後に上げ幅を広げました。
一方で上期決算を発表した住友化学(4005)が5.3%安となり年初来安値を更新しました。石油化学製品の出荷減や石油精製製品の市況悪化を受けて通期のコア営業利益の見通しを2000億円から1900億円に下方修正したことで売りがかさみました。花王(4452)も8.7%安となりました。素材高に円安も加わり輸入する原材料費が膨らんだことなどで第3四半期の営業利益が前年同期比で29.4%減と大幅な減益となったことで売りが膨らみました。また、サイバーエージェント(4751)が海外で円建て新株予約権付社債(転換社債)を発行し約400億円を調達すると発表したことで将来的な1株価値の希薄化や株式需給の悪化を懸念する売りが出て8.5%安となり年初来安値を更新しています。
VIEW POINT: 明日への視点
本日の日経平均は15円安となりました。米雇用動態調査で労働市場の堅調さが確認されたことで米連邦準備理事会(FRB)が12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げ幅を縮小させるとの期待が後退し昨日の米国市場が続落となったことで売りが優勢となりました。しかし、朝方の売り一巡後に持ち直すと小幅にプラスとなる場面もあるなど方向感に欠け、FOMCの結果発表を控えていることから様子見ムードの強い一日となりました。
そのFOMCの結果は日本時間の3日午前3時に発表となります。0.75%の利上げはほぼ織り込み済みのため、パウエル議長から今後の利上げ減速に関する示唆が得られるかどうかに関心が集まりそうでマーケットの反応が注目されます。
(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)