今年は残暑がほとんどないまま、秋の到来が早いです。東京でも、そろそろ紅葉が本番となり、冬も間近となってきました。「来年のことを言えば鬼が笑う」と言いますが、笑う間もないほどあっという間に月日が流れる今日この頃。なので、来年の話を一つ。

投資を行う上で、必ず関わりをもつものの、普段はあまり意識することがないもの・・・に税金がありますよね。とはいっても、知っておくべきものではあり、来年1月からまた一つ税制が変わります。既に様々な金融機関からのお知らせ等でご存知の方もいらっしゃると思いますが、あらためて注目してみましょう。

来年から変更になるのは「金融所得課税の一体化」が始まることです。
これまでは一言、金融商品とは言っても、税制上の取り扱いは大きく二つに分かれ、上場株式等(上場株式や公募株式投信)と公社債等(公社債や公募公社債投信)とは別々でした。上場株式等については記憶に新しいかと思いますが、貯蓄から投資へのスローガンの下で導入されていた優遇税制も2013年末で廃止され、現在20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%+住民税5%)の申告分離課税です。それに対して公社債等については、利子は源泉分離課税(20.315%同上)、売却時は非課税、償還差益については総合課税(雑所得)(ただし割引債は別)となっていて、同じ金融商品といえども株式等の損失と相殺させる「損益通算」はできないものでした。
それが全て申告分離課税(20.315%)に一本化されることになります。税率自体は現行と変わりません。ここで言う公社債等には国債、地方債、外国国債、外国地方債、公募公社債、上場公社債、公社債投信、MMFや外貨建MMF、MRFなども含まれます。

デメリットとメリットをまとめてみましょう。

【デメリット】

・現行公社債等の途中売却益は非課税だが、売却益は課税対象となる。
【メリット】

・上場株式等との損益通算が認められる。

・損失が出た場合、3年間の繰越控除が認められる。

・特定口座の対象となる。(金融投資商品をまとめて管理できる。)

債券等に投資を行う場合、個人投資家の方は途中売買をされる方はあまり多くなく、償還まで保有されることが多いと思いますので、投資商品としての一括管理できることのメリットの方が大きいのではないでしょうか?
外貨建MMFなどの売買をされていて、かなり含み益があるような場合は今年中に「益出し」として非課税で売却しておくのもよいでしょう。
いずれにせよ、税制の一本化、特定口座での一括管理という点からも株式等のみ、債券のみといった投資選考から幅広い金融商品をバランスよく取得するきっかけにしてはいかがでしょうか。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員