「リスクオフ」という言葉をニュース記事などでよく見かけます。
文字通り、リスクをオフ(=外す)するということで、リスク性の高い株式等の資産を売却し、安全性の高いと思われる債券等の資産にお金を移すことを言います。為替市場においても、リスクの高いと思われる通貨(以前は安全通貨の代名詞であった米ドルが最近はリスク対象です)から安全性の高いと思われる通貨へのシフトが起こり、最近では安全性の高い通貨=円となることが多いですよね。

世界的に株式が売却されるという連鎖的な流れ+円高は日本株にとっては大きくマイナスです。なおかつ、ここまでの早いペースで上昇を続けてきたことを考えればある程度の調整は当然のことでしょう。

ここで、自分自身の投資スタイルとこうした報道とを冷静に見比べることが大切です。当然のことながら、日々時々(市場に関していえば瞬々?)のニュースはその「時」の状況を報じるもので、短期的に市場を見ている投資家にとってはそうした市場の気配は重要です。(もちろん短期投資家にとってはテレビや新聞のニュースは遅い情報であることは間違いありませんが・・・)
こうした報道は市場のトレンドやもっと長く見れば景気の循環のこと正確に示しているわけではありません。

半年や1年毎に資産のリバランスをしている方が、一時的な動きに翻弄されることは危険です。もちろん日々の市場のニュースを無視していいわけではありません。本当に「一時的な」ものかどうか、中長期的なトレンドの転換になるのかを見極めるために、より情報収集をすることが必要です。もちろん、そうした見極めは簡単なものではなく、プロであってもなかなか見通せるものではありませんが、市場の状況を理解しておくことが大切です。

今回の一連の流れは中国やタイでの事件、事故、その被害の影響、以前から続く中国株下落と景気減速懸念、くすぶる欧州不安、それらが影響する米国の利上げタイミングの延期等々、そのほとんどが「連想」「不安」「予測」といった思惑によるものです。もちろん本来市場はそうした思惑によって動くものですが、中長期に見た経済のトレンドは少し遅れて経済指標等、実際の数字に表れてきます。
上記のような理由から今回の調整は短期的なものだろうという見方もあります。中長期スパンの投資家の方がこの世界的株安に同様して売り急いだところ、すぐに市場が反転することもあり得るわけです。前述通り、中長期投資家の場合、瞬々のニュースに対する反応は遅くなってしまいがちなだけに、短期投資家の土俵に入っていくと下落しきってから売り、上がりきってから買うという失敗をしがちです。

ご自身の投資スタイルを確認し、必要な情報の取捨選択、冷静な投資行動を行うことで無駄な失敗をしないように気を付けましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員