水害、熱中症など被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
さて先日、ネットのコラムで興味深いものを見つけました。
米プロフットボール選手など、言葉は悪いですが、急にお金持ちになった人の破産率が高いという話です。それだけですと、なるほどそういうこともあるのか、というものですが、私が気になったのはサブタイトルに「時間を味方につける」とあり、かつそのコラムを執筆している方が神経内科医だという点でした。
「時間を味方に・・・」という言葉は、私たちFPなどお金にかかわる仕事をしている人はよく使いますが、神経内科の医師が「脳」の視点から使っていたのです。
生きる速度は人によって異なり、今を我慢して将来に期待を持つ生き方と目先の利益を求めることで大きな成功を短期で得る生き方があり、後者には自分の子孫をより多く残したいという生物学的な要因もあるとのことですが、いずれのタイプかを自身で見極めるべき・・・といったことも書かれていました。
それは投資の世界での長期安定運用タイプか、短期リスク選考運用タイプかに置き換えられますね。運用のスタイルはその人の性格や考え方が投影されるものですから、儲かるという話を聞いて誰かの真似をしても、タイプが異なっていれば落ち着かない気分になり失敗してしまうものです。
ハイリスク・ハイリターンという言い方をしますが、大きなリスクをとれば大きな利益を得られるという意味ではなく、そのまま大損につながる可能性もあることを、時として人は忘れてしまうこともあります。
プロのスポーツ選手は、いわば勝負師ですから、ハイリスク型を選好する人が多いのかもしれません。
米国のプロスポーツ選手ほどではありませんが、いわゆる外資系投資銀行において巨額のボーナスを受け取っていた人がリーマン・ショック後に自己破産した例を聞いたことがあります。運用のプロだっただけに、自信をもって様々な投資を行っていたのでしょう。それこそ地道に預貯金でもしていれば一生暮らしていけるほどのお金を持っていたのだと思いますが、急に手にした巨額な資金を持て余したのかもしれませんね。
もちろん、FPとして巨額なお金を普通預金にしましょう、とは言いませんが、偏ったハイリスクな投資をすると相場に激震が走ったときには取り返すことができなくなります。元手が大きかろうと小さかろうと、その点は一緒で、適度な分散をし、レバレッジを大きくしない(安全資産まで脅かすことになるので)ことは大切です。
時間を味方につける・・・脳や生き方の話はそのまま投資にも当てはまります。そもそも投資を行うのは人間で、突き詰めれば各自の脳の働きによるものですから、当然と言えば当然なことと言えるのかもしれませんね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員