今こそ見直すべきボブ・ファレル「10の投資ルール」
ボブ・ファレル氏はウォール街のストラテジストとして45年のキャリアを持つ伝説的人物で、テクニカル分析のパイオニアと言われている。バランスシートや収益を分析するファンダメンタルズ分析から、価格を分析するテクニカル分析に転向し、キャリア終盤の1998年に「10の投資ルール」をまとめたノートを発表した。
この「10の投資ルール」が発表された当時はドットコム・バブルの真っ只中だった。このため、彼の発表したルールは大きな注目を浴びることはなかったが、バブルが弾けた2001年から2003年にかけて株価が下落するのに伴い、そのルールが見直され、認知度が高まっていった。
ドットコム・バブルの崩壊から20年以上の時を経た今、高インフレ、金利上昇、経済の不確実性が高まっている。ファレル氏が記した「10の投資ルール」は、改めて見直すべきものであろう。
ボブ・ファレルの「10の投資ルール」
(1)市場のトレンドは時間の経過とともに平均に回帰する
(2)一方向への行き過ぎや過剰は、逆方向への行き過ぎや過剰を生む
(3)マーケットに「今回は違う」はない、行き過ぎや過剰は永続しない
(4)指数関数的な上昇や下落を見せるマーケットは、思ったよりも長続きする。しかし、それが「横ばい」で終わることはない
(5)一般大衆は、ほとんど「高値掴み」し、安値ではほとんど拾えない
(6) 「恐れ」や「強欲」は長期の視点に立った判断を覆すことがある
(7)マーケットは、全体が上がるときが最も強固であり、一握りしか上がらない時は最も脆弱である
(8)弱気相場には、3つの局面がある。「急落」、「短期的な反発」、「ファンダメンタルズに沿った長期の下落」の3つの局面である
(9)マーケットの専門家が異口同音に同じことを言い出すときは、別のことが起こる
(10)強気相場は、弱気相場よりも楽しい
トレンドが一方向に行き過ぎると、反転や平均への回帰が起こる傾向があるため、投資家は何らかの形でそれに備えるべきであろう。相場は平均への回帰だけではなく、一方向へ過剰に動いたあと、今度はその逆方向に過剰に動くという振り子のような動きをすることがある。例えば、急騰した後に大きく値を消した暗号資産がそのよい例であろう。
過剰が積み重なると、「今回は違う」という言葉が聞かれるようになるが、投資家が新しい局面について語り始めた時は、その局面が最終段階を迎えている場合が多い。人々の恐怖と強欲は感情を曇らせ、底値で売り、天井で買うといった誤った投資判断につながる。
投機的な興味を引き出す「新しいもの」は常に存在する。過去500年間、チューリップの球根から鉄道、不動産からテクノロジー、新興市場から、商品、ビットコインに至るまで、あらゆるものが関係する投機的なバブルが発生した。
ウォール街のすべてのルールと同様に、ボブ・ファレル氏のルールはシンプルだ。しかし、すべてのルールには常に例外があり、歴史が正確に繰り返されることはないものの、多くの場合、「韻を踏む」。
衰退する市場の中で成長を続けるペプシコ(PEP)
インフレ圧力と金利上昇に伴い、株式市場は乱気流に見舞われつつある。そうした中でも相対的に安定した収益が期待できるのが日用品セクターだ。今回は日用品セクターの中でもとりわけ株価がしっかりと推移しているペプシコを取り上げたい。
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ペプシコが10月13日に発表した第3四半期決算の決算は、売上高、利益ともに市場予想を上回るものとなった。売上高は前年同期比9%増の219億7000万ドル、純利益は27億2400万ドルと、1年前から約2割の増益となった。
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第3四半期において、主力であるスナック菓子と飲料の売上数は減少したものの、インフレ対策として価格を引き上げたことによって増収、増益を確保した。また同時に通期見通しを上方修正した。モノの値段が上がるインフレ下において家計が圧迫される中でも、一部商品への需要は力強い状況が続いていることを示す決算となった。
地域別売上高の割合を確認してみよう。
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売上高の約6割を占めるのが北米だ。スナック類を販売するフリトレー部門は、販売数量が減少したものの売上高は20%増加した。一方、飲料のペプシコ・ビバレッジズの売上高は、数量がわずかに増加し4%増となった。また、欧州やアフリカ、中東、南アジアでも増収となった。高いインフレ圧力、金利の上昇、世界各地のサプライチェーンのボトルネックという課題は企業の底力の違いを浮かび上がらせる結果となっている。
配当と自社株買いで株主に高い利益還元を実現
ペプシコの配当利回りは直近で約2.5%を誇っており、安定的かつ安全な配当収入を求める投資家にとっては好ましい選択肢の1つと言える。ペプシコは過去50年にわたって、毎年配当を増額している「配当王」の1つである。オイルショックやブラックマンデー、アジア通貨危機や世界金融危機等の逆風に耐えながら、半世紀に渡り毎年配当を増やし続けた財務的に成功した長い歴史を持つ企業の1つだ。さらに、2022年に入り、100億ドルの自社株買い計画を発表している。
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ペプシコは、ペプシコ、トロピカーナ等23のブランドを保有しており、世界で最も価値のあるブランドの1つとなっている。新規参入者がこうしたブランドイメージを作り上げ、市場に参入することは難しい。また、ペプシコは流通網を最適化しており、新規参入者がこれに対応することはほぼ不可能だ。長年愛用しているブランドに対する消費者の愛着は強く、生活環境の変化ににもかかわらず、製品の購入は続く傾向にある。
ペプシコの業績に対して逆風となるのは足元で加速しているドル高だ。ペプシコは200カ国以上でグローバルに製品を販売しており、その収益の大部分はドル以外の外貨建てで発生している。このため、ドル高はドル建てでの利益の減少となり、来期の評価に影響を与える可能性がありそうだ。なお、第3四半期の為替による影響は、EPS(一株当たり利益)でマイナス3%と報告されている。ドル高が進行しているなか、今後、この逆風がどの程度強まるのか注意しておきたい。
石原順の注目5銘柄
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