ギリシャの国民投票の結果はまさかの「反対」多数。
国民はEUの条件である緊縮政策の受け入れを拒否。それをギリシャ政権は勝利と喜んでいる・・・!「痛みを伴うのは嫌だけど、もっとお金を貸して。支援はして。」という子どものような駄々をこね続ければEU側が折れるはず、というゲーム理論に乗っ取ったギリシャの対応にはほとほとあきれます。

そもそもPIIGS(当初はPIGS)が騒がれ出した2010年(ギリシャ危機に限れば2009年初め)から、根本問題は一切解決しないまま、国際支援で表面的には注目を逃れてここまで凌いできました。
当初から言われてきたことですが、経済格差があり過ぎ、かつ政策も異なる国々が同一の通貨、金融政策の下で経済圏のみ同じくするというのは、どう考えてもひずみが出ます。そのために一定の経済基準を満たさなければユーロ圏には入れないこととなっているのです。
ギリシャのような国は初めからユーロ加入したことが間違いであった、と言うのは簡単ですし、その通りだとは思います。あいまいな統計数字になお下駄を履かせて、言葉は悪いですが「裏口入学」してしまい、今度は成績が悪い大問題児であることが発覚してしまったものの、簡単に「退学」させることができないのです。
共通の単一通貨ユーロを用いていることから、事態が悪化すればするほどユーロを使用している諸国経済に直接影響すること、そここそ、ギリシャがゲームをしかけているポイントでもあります。「私たちを助けないと、あなたたちも大変なことになるよ。」と。

これまでギリシャはユーロの名の信用の下、「ギリシャ・ドラクマ」時代にはできない巨額の借金をしてきました。過去においてデフォルトを起こした国というのはアルゼンチンやロシアなどいくつかありますが、「先進国」としては初めてです。
国がデフォルトを起こす場合、その国を破綻→清算などとはできませんので、国際的な助言の下で国内政策を整え、不履行になった債務の返済計画を立て直していくものです。当然他国は債務の一部もしくは全額免除や、個人投資家でも国債を保有していればお金は戻ってこないこともあります。(アルゼンチンの時には日本でも多くの被害がありました。)
その国は信用を失いますから通貨価値も暴落するのが常ですが、数多くの国が同一通貨を用いている一大経済圏のユーロの場合、その点も難しくなります。

いつもはこのコラム原稿は前日(日曜日)に書いていますが、今日はギリシャの国民投票の結果の前場まで見極めています。何が起こるかわからない...との思いからでした。
投資家の予想を裏切る「反対多数」のショックもあり、現時点で株安、円高に振れていますが、予想範囲内といったところでしょうか。
いよいよギリシャのユーロ離脱にも現実味が増していますし、今後の世界経済への影響は過去の途上国の破たんのものとは規模が異なりますから、要注意ではありますが、絶好の買い場となりえるものも出てきそうですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員