東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて5日ぶりに反落となりました。335円安の26,975円で寄り付いた日経平均は直後に389円安の26,921円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと11時過ぎに112円安の27,198円まで戻し161円安の27,149円で前場を終えました。197円安の27,113円でスタートした後場の日経平均は27,100円を挟んで小幅に揉み合うと結局195円安の27,116円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

電子部品大手のローム(6963)が一時4.3%高となりました。自動車や産業機械向けのパワー半導体が好調で円安も追い風となっていることなどから上期の営業利益の見通しを390億円から500億円に上方修正したことで買いが優勢となりました。イベントディスプレー大手の乃村工芸社(9716)も一時12.2%高となり年初来高値を更新しました。政府による新型コロナウイルス感染対策の外出規制が緩和されホテルや百貨店、飲食店などの客足が回復し、イベント企画や店舗内装の施工業務の受注が伸びたことなどから上期の営業利益が前年同期比で13.1%増と二桁の増益となったことで買いを集めました。

また、11日から全国を対象とした政府の観光促進策の「全国旅行支援」が始まることから旅行関連株が高く、エイチ・アイ・エス(9603)が4.3%高、オープンドア(3926)が3.2%高、エアトリ(6191)が一時4.1%高、JR東日本(9020)が一時2.9%高、JR東海(9022)も一時3.3%高となりました。

一方で上期決算を発表したセブン&アイ・ホールディングス(3382)が3.5%安となりました。想定為替レートを円安方向に修正したことで通期の営業利益の見通しを4450億円から4770億円に引き上げましたが、上方修正が市場予想並みに止まったことから材料出尽くしとなりました。ディスコ(6146)も7.1%安となりました。消耗品の精密加工ツールがやや伸び悩んだことな7-9月期の出荷額が前四半期比で0.1%減となったことで売りが膨らみました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は195円安となりました。米長期金利の上昇が相場の重石となるなかで米雇用統計の発表を控えポジション調整の売りが出て昨日の米国市場が続落となったことで反落となりました。一時は390円近く下げ節目の27,000円を割り込む場面もありましたが、朝方の売り一巡後に下げ渋ると引けでは27,000円を維持しています。しかし、200日移動平均線や25日移動平均線、一目均衡表の雲の下限の回復に失敗した翌日に下落となったことで戻りを試す場面ではこれらが上値抵抗線として意識されることになりそうです。

なお、先週から2月決算企業の上期決算がスタートしていますが本日も引け後にアダストリア(2685)やヨンドシーホールディングス(8008)といった小売り企業に加え、安川電機(6506)の決算発表も予定されています。また、関心の高い9月の米雇用統計は日本時間の21時30分に発表となりますが、ブレの大きい経済指標で市場予想から大きく外れることもあるだけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)