漠然と老後に対する不安から「早く資産を殖やさなければ」とむやみに焦ってリスクの高い投資に向かってしまう方もいるようです。
世の中では定年後にはいくら必要といった数字も出回っていますが、そうした数字はあくまで便宜的なもの、そのままご自分に当てはめないように。
それまでの生活がそれぞれ異なるように、老後もどこで、どんな生活をするかで全く異なるからです。住む地域によっても大きく異なり、旅行を楽しみたい、観劇を趣味にしたい、田舎暮らしがしたい・・・等ライフスタイル次第で必要額は変わります。
年齢と共に病気や怪我のリスクも高まりますが、状況によっては貯蓄を直撃することも多々あります。
老後の収入の中心となる年金も、国民年金だけの方、国民年金基金の上乗せがある方、厚生年金の方等それぞれです。厚生年金も、現役時代の収入によって差が出てきます。民間の年金保険に入っている方もいることでしょう。
じゃあ、何を目安にすればいいの?と思われますよね。
面倒かもしれませんが、個々ご自分の老後のライフプランを描いてみるしかありません。金融資産全体の洗い出し(棚卸)は毎年行っていただいていると信じて・・・そのうえで、年間の生活費やライフスタイルを一度検討してみてください。
<支出の確認>
1.どこに住むのか。基本生活費はどの程度かかるのか。
2.住宅ローン等借入金は残っているのか。
3.想定したライフスタイルを行うために年間どの程度お金がかかるのか。
4.持病は?遺伝的病気の可能性は?それらの治療、入院費はどの程度かかるのか。医療保険はいくつまで有効なものに加入しているのか再度確認。
5.自宅の修繕、リフォームはどのくらいかかるのか。
6.家電等の買い替えの頻度は?
<収入の確認>
1.定年時の資産額は?(退職金の金額、ローンの残額等確認)
2.年金はいくら受け取れるのか。(ねんきん定期便等の再確認。企業年金はあるのか。加入している民間の年金等の確認も。)
既にリタイアされていても、今後のことを不安に思う方が多いのは前述の通り。そうした方も、100歳まで元気でいたら、病気になったら・・・といくつかシミュレーションをしてみましょう。
これらを行って、備えが足りる、足りないということに対しては、ライフスタイルを検討し直すことで対応できますし、投資を行う場合は何年でどのくらい殖やすべきかが見えてきます。無理な高リスクを取らなければ間に合ないようなプランであれば、まずはプランを見直してくださいね。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員