15年ぶりに日経平均が2万円をつけてから10日。先週は2万円超えが定着するどころか芳しくない動きが続き、ヤキモキした方も多いかもしれませんね。
相場は時に、誰もが大台と感じる舞台を前にしたとき、到達に躊躇したり、到達と共に大きな達成感を得て脱力したり、とまるで人間の感情のような起伏を見せます。
これまでも書いてきたとおり、相場は人の「気」によって動かされる「気の集合体」のようなもの、ある意味、人そのものとも言えますから、さもありなんというところでしょうか。

それにしても想像以上に株価上昇は早い展開だったことも、達成感と同時に不安感も大きくしていると言えるかもしれません。
日経平均が1万円台を回復したのがアベノミクスの始まりから間もない2012年12月であったことを考えると、2年4か月あまりで2倍に達したことになります。

先日ネット上の一般投資家のコメント(Q&A)を見直してみましたら、「日経平均が2万円になるなんてありえませよね?」というものがありました。2010年2月のものです。5年前の日本では日経平均2万円は夢のまた夢、何十年後かにあるかも・・・と、ごく一般の投資家には感じられるような状況だったのです。
日本株はまだまだどうにもならない、という気分が抜けきらないうちにあれよあれよと言う間に上昇してきましたから、自身の立ち位置に不慣れ、半信半疑という方もいらっしゃるかもしれません。逆に、ここ2年くらいに投資を始めた方、復帰した方、短期投資を常とされている方は感覚が上昇気流に乗りきっていて、「まだまだいける」と感じているかもしれませんね。

日経平均2万円という数字が見え(実際にタッチし)、専門家と言われる人々もコメントが二極化してきています。
不安になり始めた投資家とイケイケの投資家が混在し始め、かつ相場の上昇スピードが速いケースでは調整が入るのがセオリーと言えるでしょう。
一部報道にあるような大暴落といった極端なケースは個人的にはまだないとは思いますが、先週の足踏み程度以上の揺れはあって然るべきではないでしょうか。

円安、緩和政策、公的資金(クジラと言われるGPIF(年金資金)等)の下支えといった株価上昇を後押ししてきた要素がこれまでと同様に大きな支えになるかといえば、必ずしも頼れるとは言い切れないでしょう。
すでに十分に円安ドル高になっていますし、米国の緩和政策が出口に向かうタイミング次第でまた状況は変わってきます。
ただし、アベノミクス気分だけで先行していた株価に対し、実際の企業業績が上向いてきていること、給与や一時金が上昇して消費者の懐が潤いつつあることも現実です。

悲観的になる必要はありませんが、冷静に現実をとらえ、欲張らずに相場を見ること、利益は確定しておくことも大切ですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員