【米国株式市場】ニューヨーク市場

NYダウ: 29,590.41  ▼486.27 (9/23)
NASDAQ: 10,867.93  ▼198.88 (9/23)

1.概況

22日の米国市場は米連邦準備理事会(FRB)が0.75%の利上げを決めたのに続いて英イングランド銀行が0.5%、スイス国立銀行も0.75%の利上げを決めたことで欧米中銀による大幅利上げが世界景気を冷やすとの懸念から3日続落となりました。20ドル高でスタートしたダウ平均はマイナスに転じると朝方に189ドル安まで下落するなど軟調に推移しましたが、取引終盤に買いが優勢になると118ドル高まで上昇する場面もありました。しかし、上値は重く引けにかけてマイナスに転じると結局107ドル安の30,076ドルで取引を終えています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も153ポイント安の11,066ポイントとなっています。

先週末の米国市場はFRBの大幅利上げによる景気後退懸念が強いなか欧州株安の影響もあり大幅に4日続落となり、ダウ平均が年初来安値を更新しました。121ドル安でスタートしたダウ平均は昼過ぎに720ドル安程度まで下落した後一旦下げ渋りましたが、取引終盤に一段安になると一時は826ドル安まで下落しました。その後引ダウ平均は引けにかけて下げ幅を縮めたものの結局486ドル安の29,590ドルと30,000ドルの大台を割り込んで取引を終え、6月17日に付けた年初来安値(29,888ドル)を更新しています。また、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数も198ポイント安の10,867ポイントとなっています。

2.経済指標等

22日に発表された先週一週間の米新規失業保険申請件数は前週比5000件増の21万3000件となりましたが市場予想ほど悪化しませんでした。 一方で8月の米景気先行指標総合指数は前月比0.3%低下し市場予想を下回りました。また、4-6月期の米経常収支の赤字額は前期比11.1%減の2511億ドルとなっています。
先週末に発表された製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は51.8と前月から上昇し市場予想を上回りました。

3.業種別動向

22日の業種別S&P500株価指数は全11業種のうち9業種が下げ、一般消費財・サービスが2%余り下落したほか、金融と資本財・サービス、素材も1%以上下げました。一方でヘルスケアとコミュニケーション・サービスの2業種が上げています。
先週末の業種別S&P500株価指数は11業種全てが下げました。そのなかでもエネルギーが6%を超える下落となったほか、一般消費財・サービスと素材も2%以上下げています。

4.個別銘柄動向

22日の米国市場でダウ平均構成銘柄ではアメリカン・エキスプレス(AXP)が4%近く下げたほか、ボーイング(BA)も3%余り下落しました。また、ゴールドマン・サックス(GS)とウォルト・ディズニー(DIS)も2%以上下げています。一方でメルク(MRK)が3%を超える上昇となっています。ダウ平均構成銘柄以外では、半導体株の下げが目立ちアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)が6%を超える下落となり、エヌビディア(NVDA)も5%以上下げました。ウエスタンデジタル(WDC)も3%近く下落しています。さらにレストランチェーンを運営する外食のダーデン・レストランツ(DRI)は決算で売上高が市場予想を下回ったことなどで4%以上下げています。製薬のイーライ・リリー(LLY)は投資判断と目標株価の引き上げを受けて5%近く上げています。

先週末の米国市場でダウ平均構成銘柄はホーム・デポ(HD)とジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)とを除く28銘柄が下げました。そのなかでも原油価格の下落を受けてシェブロン(CVX)が6%を超える下落となったほか、ボーイング(BA)も5%以上下げました。また、キャタピラー(CAT)とゴールドマン・サックス(GS)も3%を上回る下落となり、ウォルト・ディズニー(DIS)とウォルマート(WMT)、セールスフォース(CRM)、IBM(IBM)も2%以上下げています。ダウ平均構成銘柄以外では、主力ハイテク株の下げが目立ちネットフリックス(NFLX)とテスラ(TSLA)が4%を上回る下落となり、アマゾン・ドット・コム(AMZN)も3%安となっています。さらに会員制倉庫型ストアのコストコ・ホールセール(COST)も第4四半期の利益率低下を嫌気した売りが出て4%を超える下落となっています。

5.為替・金利等

22日の長期金利は0.18%高い3.71%となりました。先週末の長期金利は0.03%低い3.68%となりました。英国のトラス政権が大規模な減税策と国債の増発計画を打ち出したことで英国債相場が大幅に下げた影響を受けて朝方には一時3.82%と2010年4月以来12年ぶりの高水準を付ける場面もありました。ドル円は143円台後半で推移しています。政府・日銀が1998年6月以来およそ24年ぶりに円買い・ドル売り介入に踏み切ったことで22日の夕方には一時140円台前半まで円高となる場面がありました。

VIEW POINT: 今日の視点

本日の日本市場は米国市場でダウ平均が22日と先週末の2日間で590ドル以上下げたことから下落してのスタートが予想されます。こうしたなか日経平均は節目の27,000円を割り込んで下げ幅を広げそうです。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)