東京市場まとめ

1.概況

本日の日経平均は米国株安を受けて5日ぶりに反落となりました。481円安の28,132円で寄り付いた日経平均は直後に472円安の28,141円を付けた後下げ幅を広げると取引開始から10分余りで818円安の27,795円まで下落しましたが、朝方の売り一巡後に持ち直すと10時30分過ぎには583円安の28,031円まで下げ幅を縮めました。しかし、節目の28,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると再び下げ幅を広げました。622円安の27,991円で前場を終えた日経平均は627円安の27,987円で後場の取引をスタートさせると13時40分過ぎに809円安の27,804円まで下落し結局796円安の27,818円で取引を終えています。こうしたなか新興株も安く東証マザーズ指数が下落となっています。

2.個別銘柄等

政府が旅行支援策のGo Toトラベルに代わる全国旅行支援を早ければ月内に開始する方向で調整に入ったと伝わったことで昨日に旅行関連株が買われた流れが続き本日もエイチ・アイ・エス(9603)やオープンドア(3926)、エアトリ(6191)などが高く、エイチ・アイ・エスが5.3%高、オープンドアが3.2%高、エアトリも一時4.5%高となり、オープンドアは年初来高値を更新しました。鳥貴族ホールディングス(3193)も6.2%高となりました。サントリーホールディングス子会社でやきとり大吉を展開するダイキチシステムを買収すると発表したことで収益の拡大を期待した買いが入りました。

一方で美容健康機器を手掛けるヤーマン(6630)が12.4%安となりました。円安の進行で電子部品の調達コストが上昇して原価を押し上げたうえ、広告宣伝活動への投資が膨らんだこともあり第1四半期の営業利益が前年同期比で39.1%減の大幅な減益となったことで売りが膨らみました。中国電力(9504)も7.7%安となり年初来安値を更新しました。燃料費調整制度によるコスト転嫁が遅れていることに加え、燃料や電力の調達費用が膨らんだことなどから2023年3月期の最終損益が1390億円の赤字になる見通しだと発表したことで売りがかさみました。九州電力(9508)も4.3%安となりました。ロシア・ウクライナ情勢の緊迫化によって燃料価格が高騰し、先行きが見通せないため2023年3月期の中間配当を無配にすると発表したことで大幅安となりました。

VIEW POINT: 明日への視点

本日の日経平均は796円安となりました。8月の米消費者物価指数(CPI)が市場予想を上回る上昇率となったことで米連邦準備理事会(FRB)による大幅利上げ継続を警戒した売りが出て昨日の米国市場が大幅反落となり、ダウ平均が今年最大の下げとなったことで節目の28,000円を割り込みました。朝方の売り一巡後に下げ渋り28,000円を回復する場面もありましたが、28,000円を小幅に上回ったところで上値が押さえられると日銀が為替介入の準備のために市場参加者に相場水準を尋ねる「レートチェック」を実施したと伝わったことでドル円が円高に振れたこともあり後場に入って再び下げ幅を広げました。

なお、日本時間の21時30分には8月の米卸売物価指数(PPI)が発表される予定ですが、物価動向に神経質な展開が続いているだけにマーケットの反応が注目されます。

(マネックス証券 シニア・マーケット・アナリスト 金山 敏之)