事前の予想通り、衆院選は自公与党の圧勝という結果になり、大きなサプライズはありませんでした。経済を見る立場、投資家の一人としては、景気回復、上昇基調が進むことは期待したいところですが、さてどうなるでしょう。

先週の相場は、大方の予想に反して(米雇用統計の好結果明けだったのに)、調整の動きが強くなりました。原油安に影響を受けた部分が大きいものの、ドル円などはそもそも急速に市場が買いポジションを膨らませていた状況で、日本株もその急円安に引っ張られていたのですから、そろそろ調整が必要な時期でもあったとも言えるでしょう。世界的な株安とはいうものの、個人的には景気トレンドが急変したというより、あくまで調整の一環と見ています。実際、調整ムードには一服感が出てきているようです。

今週は日銀短観や日銀決定会合等もありますが、FOMC(連邦公開市場委員会...米国の金融政策を決定する最高意思決定機関)が最重要イベントでしょう。早期利上げが期待される中、低金利政策を続ける「相当の期間」という文言がFOMCの声明文から削除されるかどうかに市場は注目しています。
削除⇒低金利が「相当の期間」でなくなる⇒早期利上げ=緩和姿勢の転換、と受け止められ、ドル上昇要因になります。

世界的株安について前述しましたが、原油安によるリスク回避、米国利上げ期待からの米国へのマネーシフトが加速すると、一時的な調整では済まない、深刻な新興国の通貨安、株安が起こる可能性もあります。今後、そうした視点も持ちつつ注意する必要があります。

さて、そろそろ欧米の投資家がクリスマス休暇前の手仕舞いをする頃ですが、今年の師走はいつに増して注目イベントや事柄が多いように感じませんか?
10月末以降、動きの早い相場が続いて、過敏に反応しやすい市場の雰囲気を作り出しているのかもしれませんね。
ここのところ相場は上昇時、下落時とも流れが速く、値幅も大きいです。今後、市場参加者が減っていく市場では流動性が減るため、その傾向が加速していくことも考えられます。
チャンス(リターン)とリスクは背中合わせにあることを、今一度思い出して、無理な投資はしないように気をつけましょう。

1年の世相を漢字一文字で表す「今年の漢字」が先週発表されました。「税」とは、なんとも夢のない一字ですね。来年の消費税増税はとりあえず先送りされることになりますし、衆院、政府も一新されることで、政治経済とも前向きになっていってもらいたいものですね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員