先週の祝日をはさんで2週ぶりですが、先週の市場はすっかり「景気不安」「減速」という言葉で表現されるようになってしまいました。
もちろん、先週金曜日の景気指標の好結果による米国株の大幅高は、拡がった「不安」を一旦停止させるかもしれません。実際のところ、米経済の基礎的な条件(企業業績や雇用等)は安定してきているのが事実なのですが、一度不安にとりつかれた投資家心理をすっかり変わらせる、不安を完全払拭できるかどうか・・・。

市場の方向感を決めるきっかけになるのは確かに指標であったりしますが、やはり大きい要因は投資家心理、「気」であることはこれまでも折に触れて書いてきました。
もちろん技術的な事象もそこを後押しします。相場が下がる⇒ストップロスがつく⇒下げを加速する・・・そこにオプションなどの取引が拍車をかけるというように次々とオーダーがつくことで相場の動きを速めることとなります。投資家の不安心理が膨らみ、売りに走るとますます相場は下がります。

ほんの1、2週間で世界景気が本質的に激変するのかというと、リーマンショックのような事態は別にして、ほとんどの場合、景気は徐々に変化しているのです。ただし景気の山と谷は必ずあり、大きなインパクトがその分岐点である山や谷となることはありえます。
そもそも景気指標にしても、前月分や前半期分などが発表されるわけですから、発表された瞬間に景気が悪くなったり、良くなったりするものではありませんよね。

それらを見守る投資家の「気」の反応によって相場は変わり、その影響で実際の景気が変動していくこともあります。
為替相場が大きく動くと、実際の企業経営上でも損益に大きな影響が出ます。リスク回避として米国債や日本国債に資金が集まれば、潤沢に投資されていた新興国やコモディティ相場を脅かし、実体経済にも影響を与えることとなります。
景気が先か、投資行動が先か、ニワトリと卵のような関係なのかもしれませんね。

不安定、不透明な状況下においての相場の動きは予測が難しく、百戦錬磨の投資家にとっても手ごわいものです。
ニワトリを追ったり卵を見たりとしてしまうと、相場に振り回されることになりますし、信念を持ち過ぎて自身の投資に固執すると痛い目に遭ってしまいます。
動く相場は儲けるチャンスであると同時に、大損する可能性も大きいのです。
投資を行う時にいつでも持っているべき、また、こうした不安定な時はより心掛けるべき下記を忘れずに!

1.儲かっていても、欲を持ち過ぎないこと。

2.潔く手仕舞う覚悟と「休むも相場」の気持ちをもつこと。

3.自分自身の投資スパン、スタイルを見失わないこと。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員