中国本土市場は年初来安値を切り下げ続ける展開が続いています。先週は特に大きな経済指標の発表もなく、手がかり難の状態でしたが、9月上旬から発表される8月の経済指標について、更なる景気減速が警戒されています。もっとも株価の下落ペースは限定的で、上海総合指数は心理的な節目となる2000ポイント前後では下げ渋っている様子です。8月の経済指標が予想以上の悪化とならず、株価が2000ポイント前後で底値を固めることができ、10月の政権交代後に、新しい政策が発表されてくるようだと株価の反発が期待できるところとも言えるでしょう。

一方で、2012年上半期の企業業績の発表が続いています。国家統計局の発表によると、中国の主要工業企業の2012上半期の利益は前年同期比2.2%減と奮わない状況です。実際のところ上場企業の上半期業績を見ても、銀行や通信の大型企業の業績は増益基調で好調なのですが、資源、鉄鋼、航空、石油化学、海運、自動車といったセクターの業績は減益を発表する企業が多数あり、中国経済の状況が厳しいことを物語っています。しかも国家統計局によると、前述の中国の主要工業企業の1-7月の利益は前年同期比2.7%減で、上半期(1-6月)よりもさらに悪化しており、第3四半期以降、企業利益の悪化懸念が今後膨らんでいく可能性があります。

その他のニュースでは、政府系シンクタンク、銀行、国営の上海証券報が中国人民銀行(中央銀行)は若干の金融緩和で景気のスローダウンを防ぐべきという内容の合同研究レポートを発表しています。年末までに政策金利を引き下げるべきということと、銀行の預金準備率引き下げの必要性も指摘。ただ、その一方で世界的な金融緩和によって物価が上昇し、輸入インフレになる懸念がある点も指摘しており、過度の金融緩和でインフレ再燃を招くことは避けるべきでとも述べています。