先日インターネットで面白い記事を見ました。「ケチ度チェック」というもの。「日本人は遺伝子レベルから見ても、不安感を抱きやすく慎重な国民性です。もともと日本人はケチ気質の傾向を持ったケチ民族なんです」との専門家による見解のもと、ケチ度チェックの項目とその結果が書いてありました。
個人的にはケチ度チェックの項目はピンとこないものが多かったのですが・・・WEB上の関心の高い(よく見られている)項目の上位にあった記事ですから、興味をもつ人が多いということですね。

ケチな日本人(?)=貯蓄率が高い、というイメージではありませんか?実は最近の先進主要5カ国(日米英仏独)の家計貯蓄率を比較すると、2010年はなんとわずか2.3%で最下位です。(OECD Factbook 2013, Household net saving rates)
ちなみに1999年以降のデータで1位はずっとフランスが独占し、2010年も12.1%と日本の5倍以上です。ラテン系のフランス人はもっと「ケセラセラ」な生き方をしているイメージがあるだけにちょっと意外でした。(ちなみに一人当たり金融資産額は日本の方がずっと多いです。)

ある分析によると、フランスの貯蓄率の高さは将来の経済不安を反映したもので、消費支出を減らして自衛のために貯蓄に励んでいるため、とのこと。
確かにフランスの年金制度では、男女問わず、払った者しか受け取れないというもので、日本の第3号被保険者のように自身は支払わなくとも将来年金受給できるといった制度はありません。誰もが自分の将来は自分で責任をもつ必要があるわけですね。

日本でも年金制度に対して不安に思う方は若年層を中心に増えていますし、退職金を当てにすることに難しさを感じている方も多いようです。将来必要なお金は自分でどうにかしなければ、と考える人は確実に増えています。

話を元に戻すと、将来必要なお金のためにケチして倹約・節約に励むべきでしょうか?答えは否だと思います。
日々目先の小銭をケチって預貯金に励んでも高が知れています。特にこれだけ低金利の世の中ではほとんど増えてもくれないでしょう。
お金を増やす以下の3原則のうち2には限界があるということですね。

1.収入を増やす

2.支出を減らす

3.お金を働かせる

当事者の年齢にもよるかもしれませんが、将来の1のために自己投資=目先の支出をするということも一つの方法です。
読者のみなさんは行っているはずですが、3の「投資」は長い目で見ればとても有効なだけでなく、自身の経験、知識を積む自己投資でもあります。

ちなみに貯蓄率1位のフランスでは個人保有金融資産では証券資産が43%を占めています。(日本はわずか14%、いずれも2001年データ)(日本銀行調査統計局広報誌「ニチギンクオータリー」2003年春季号)
無駄な浪費はNGですが、小銭ケチは将来の豊かさ、幸せにはつながらないと心得ましょう。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員