ある感染症(特に伝染病)が、顕著な感染や死亡被害が著しい事態を想定した世界的な感染の流行を表す(ウィキペディアより)
現在、世界の注目を集めているのが西アフリカで既に1100名を超える死者が出ているエボラ出血熱。この人数もWHO(世界保健機関)によれば、氷山の一角であるとのこと。
1995年のダスティン・ホフマン主演映画『アウトブレイク』を彷彿とさせる、恐ろしい勢いで拡大している病気です。この映画自体、「エボラ出血熱に似た症状」という架空のウィルス感染を扱ったものでした。
このエボラ出血熱がパンデミックとならないよう、国際協調が求められている中、発症が確認されている西アフリカ4国のみならず、アフリカ全体をまとめて封じ込めようという動きまで出ています。各航空会社が飛行機の就航を取り止めたり、ビジネス・投資関連イベントの取り消しも相次いでいるとのこと。
アフリカそのものは広大な大陸であり、西アフリカから遠く離れ、発症者も確認されていない東部や南部アフリカを一緒くたにしてしまうのは本来無理があるはずですが、一般に先進諸国の人々にとって遠い「アフリカ」は大陸まとめてイメージされてしまっているのが現実なのでしょう。
また、線で引かれた国境のみで隣接する各国、動物媒介によるウィルス拡散という事実は、離島などと異なり隔離は難しいのでは・・・とも感じてしまいますね。
この状況をロイターでは「エボラ渦」と表現していましたが、ここ数年急速に成長し、期待されてきていたアフリカ経済にとっては深刻な打撃となることが予想されます。感染がどの程度拡大するかも実際のところわかりませんし、現時点では経済成長率の具体的なダメージはまだ予測できず、数値化されていないようです。
石油をはじめ、資源が豊富なアフリカには先進諸国もかなり力を入れて本格進出、投資を始めた最中です。もし感染が急速に拡大するようであれば、アフリカ諸国のみならず、世界経済全体にも大きく影響を及ぼす可能性もあります。
私事ですが、これまで私は南アフリカやケニアなどを旅し、経済成長を感じさせる活気あふれる街中、豊かでこの上のない自然、体制が整った観光エリアなどを実際に目にしてきました。アフリカの広大な大地は、人類発祥の地のせいか「ただいま!」と思わず言いたくなる高揚を感じたものです。
前述通り、広大で多種多様なアフリカは地域によって民族も言語も宗教も政治的背景も異なりますから、南部と東部を少々見ただけでは知ったようなことはもちろん言えません。
それでも、あえてアフリカ全体として、資源大国、観光立国としても今後飛躍を期待できると信じてきただけに、こうした疫病によって、足踏みすることは残念でなりません。
国際的な支援を絶やさないことで、事態が早く収束することを祈るばかりです。
廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員