W杯、なんとも残念な結果に終わりましたね。
今回の日本代表は欧州等海外組も多く、過去最強のチームと言われていただけにがっかりしました。ヨーロッパの強豪チームの多くも1次リーグ通過できず、スタープレイヤーがいれば勝てるわけではないことがよくわかります。

ちょっと強引ですが、投資にも共通したところがあるというお話です。
例えば投資信託。ご存じの通り、投資信託は投資家の小口の投資資金をまとめてプロの運用者が運用する商品です。最近ではその投信の運用者の顔(プロフィール等)が見えるものが多くなりました。中には有名な運用者(ファンドマネージャー)=スタープレイヤーもいます。ですが、有名ファンドマネージャーが運用しているからといって、必ずしも右肩上がりになるとは限りません。

株式投資ではどうでしょう。これは投資家が自身で選択した銘柄になりますから、自身の力量と思われるかもしれません。でもチャートで見ても、財務分析しても、どう見ても優良だと思った企業の株がみるみる下落することだってあります。
そうした株式を何種類か分散して保有していて、分散投資の効果が期待できるはずが、皆一斉に下落してしまうということもあります。

これらの投資商品はどれも「相場」を相手にしています。
相場は「気」と流れの勢い、外的要因(地政学リスク、要人の発言等々)でも大きく左右されるものです。本来は実力があるのに・・・というモノでも一気に下落することもあれば、過剰の期待感で買われ過ぎということも多々あります。

サッカーでは個々の選手の実力があっても、チーム全体の気力、ただよう空気、勢いなどがプレッシャーから空回りしたり、相手チームの気迫やサポーターの存在に飲まれて結果として流されてしまうということもあるでしょう。

日本株でアベノミクス上昇直前、どんな手を打とうと株価がなかなか上がらず、円高も一向に解消されませんでしたが、「異次元緩和」の号令とその期待は場の空気を一新させ、急反転にとつながりました。
参加者や企業そのものが一瞬にして「優良」になったわけではなく、流れが変わったということですね。

1995年の超円高時にその流れを反転させた立役者として当時の財務官榊原 英資氏が「ミスター円」ともてはやされました。彼も市場の空気を変えることに成功したのです。

サッカーは常日頃の練習の積み重ねとチームワークが大切で、空気だ、流れだので片付けられないものだとお叱りを受けそうですが、その場の空気は勝敗に大きく影響するのではないでしょうか。
投資は相場の気の影響が大きいとはいえ、投資家もきちんと勉強の積み重ねをし、全体を見る力を養って対応できるようにすることがやはり大切なのです。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員