先週面白いデータが発表されました。
ご覧になった方も多いと思いますが、家庭内の「へそくり実態調査」です。(株式会社マネーフォワード、同社家計・資産管理サービス「マネーフォワード」ユーザー男女5.945名のアンケート調査)

同社ユーザー対象ということから、ネットリテラシーが高く、お金に対する意識の比較的高い人々に対する調査であり、日本国民全体の縮図とはいかないことでしょう。
その証拠と言いますか、へそくりの全体平均は167万円ということで、以前このコラムで取り上げた日本の家計の平均貯蓄では2人以上世帯で100万円未満が一番多いという事実と比べると、ずっと余裕のある家計であることが想像できます。

第360回 「平均貯蓄というけれど・・・」
http://lounge.monex.co.jp/column/money/2014/05/19.html

そのあたりを差し引いても、とても興味深い内容なのでご紹介しますね。この調査ではボーナスの金額も夫婦間で互いに公表しない人は男性が15%、女性が26%とありました。その理由の最大のものは「お金の管理は別々にしているから」とのこと。
そして既婚者(男女を問わず)の3人に一人はへそくりをしているという回答。へそくりの方法は「隠し口座」(既婚者の43%)、「普段利用している口座」(同32%)など口座での管理、または投資・運用(同15%)などで、古典的ないわゆる「タンス預金」などの家の中のどこかに隠しているのは10%に満たないのです。

ここで注目点は二つあります。

1.それぞれにボーナス、収入がある⇒共働きが一般的となり、それぞれが自身のお金の管理を日常的にしている

2.ネット金融機関を利用し、口座管理、投資などが時間の制限を受けずに効率的に行う⇒ネットリテラシーのみならず、金融リテラシーが夫婦共に高い
妻が家計を管理し、夫にお小遣いを渡すという家庭もまだまだ多いとは思います。
そうした管理のメリットとして、世帯としての総貯蓄金額の把握等ありますが、中心的な稼ぎ手の夫が家計のお金に無頓着になるというリスクもあります。
家計には稼ぎ手が複数いる方がリスク分散にもなりますし、それだけ貯蓄に回すお金も増やせます。

今年になって給与アップ、ボーナスアップと明るい話題がありますが、ご存じの通り、何年も給与は伸び悩み、若年男性の「結婚できない理由」の上位に経済的理由があるくらいですから、必然的に共働きは増えるわけですね。

こうした背景を考えれば、へそくりという夫婦間非公開の貯蓄にするか公開にするかは各自次第としても、夫婦それぞれがお金を管理する能力を持ち、金融リテラシーを高めていくことは家計全体としてもリスク分散となり、プラスに作用することが期待できますね。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員