先週は欧州中銀による金融政策(「マイナス金利」)について書きました。今週は我らが日本の金融政策を改めて見てみましょう。

先週の13日金曜日に日銀の金融政策決定会合が開かれました。
この会議は日銀政策委員会が金融政策の運営に関する事項を審議・決定するもので、毎月1~2回開催されています。

現黒田日銀総裁は安倍内閣になってから任命され、就任からおよそ1年3カ月経ちました。黒田総裁による「異次元の緩和政策」(別名:黒田バズーカ)がアベノミクスを牽引してきたことはご存じの通り。
FRBもECBもそうですが、中銀トップの動向は常に注目はされるものの、市場に信頼され、その言動が大きな影響力を持つ人は限られます。(元FRB総裁グリーンスパン氏は退任後もその言動で市場が動きました!)
黒田総裁は思い切った政策とこれまでの成果からも、歴代総裁の中でも市場からの注目度が高いと言われています。

さて、金曜日の金融政策決定会合では全員一致で現状維持=「量的・質的金融緩和」を継続となりました。
この結果は多くの予想通りであり、サプライズはありませんでした。
景気の判断も、消費増税前駆け込み需要の反動を加味しても、緩やかな回復途中であるという前月の判断を据え置いています。

ECBがマイナス金利政策(金融緩和拡大)を決定したばかり、米国は逆に金融緩和策からの出口タイミングの模索中と先進国が三者三様です。
黒田総裁はユーロ圏の政策の効果期待と米国の景気改善をベースに、海外経済については「先進国を中心に回復している」という判断の発表をしています。
政策の違いは(経済回復の)タイミングのズレ、回復スピードの違いに過ぎないということでしょうか。

ただ、市場はその瞬間、瞬間を切り取って反応しますので、政策の方向として追加緩和(ユーロ)、緩和縮小(米国)、現状維持(日本)という違いは、特に為替市場には大きなうねりとなって表れます。
ECBの緩和拡大によるユーロ圏金利低下⇒ユーロ安円高
米国緩和縮小による米国金利上昇⇒ドル高円安
欧米の金利差拡大⇒ユーロ安ドル高
もちろん、どちらが先に来るか、どの通貨のどの要因の引きが強いのか、で状況は刻々と変わるでしょう。
金利、為替の動きは当然、株式市場にも大きく影響を与えますので、日本国内の「景気回復」という判断とは異なる反応も十分予想されます。

自分の投資スタイル(投資対象、投資スパン等)をキチンと持っていないと投資判断を誤ることにもなりますので、ご注意ください。

廣澤 知子
ファイナンシャル・プランナー
CFP(R)、(社)日本証券アナリスト協会検定会員